ジェシー・ヒル
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ジェシー・ヒル | |
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ジェシー・ヒル (1996年、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルにて)
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基本情報 | |
原語名 | Jessie Hill |
生誕 | |
死没 | |
ジャンル | R&B |
職業 | |
担当楽器 | |
活動期間 | 1951年 - 1996年 |
レーベル | |
著名な家族 |
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ジェシー・ヒル(Jessie Hill、1932年12月9日 - 1996年9月17日[1])は、アメリカ合衆国のR&Bの歌手、ソングライターである。楽曲「Ooh Poo Pah Doo」が最もよく知られている[1][2][3]。
来歴
ヒルは1932年12月9日、ルイジアナ州ニューオーリンズに生まれた[4]。10代になった頃には、彼は地元のバンドでドラムスを演奏しており、1951年に自身のバンド、ザ・ハウス・ロッカーズを結成した[4]。プロフェッサー・ロングヘアやヒューイ・"ピアノ"・スミスのドラマーとして活動した後、1958年に彼は新たなメンバーでザ・ハウス・ロッカーズを再度結成し、そこで彼は歌うことに集中することとなった。
「Ooh Poo Pah Doo」の原型となったのは、ビッグ・フォーという名前で知られた地元のピアニストが演奏した曲であった。ヒルがそれに歌詞とメロディーを加え、後になってデイヴ・バーソロミューによるイントロが加わった。ステージでこれを歌うことによって更に磨きがかかり、ヒルはデモ・レコーディングして地元のレーベルに売り込んだ。最終的にコズィモ・マタッサのスタジオでアラン・トゥーサンがプロデュースする形でレコーディングがされたのであった[4]。
曲は1960年にミニット・レコードからリリースとなった。「Ooh Poo Pah Doo」はマルディグラ祭の人気曲となり、80万枚を売り上げビルボードのR&Bチャートの3位を記録、ポップ・チャートでも28位となった[1][5][6]。「Ooh Poo Pah Doo」は、シュレルズ、アイク&ティナ・ターナーを始め100を超えるミュージシャンたちにカバーされている[6]。
ヒルのこれに続く楽曲「Whip It On Me」は1960年にビルボードのポップ・チャートで91位となっている[5]。その後彼がニューオーリンズで出したレコードはヒットに恵まれず、彼はカリフォルニアに移住してハロルド・バティスト、マック・レベナック (ドクター・ジョン)らニューオーリンズ出身のミュージシャンたちと仕事をした。この時期、彼はアイク&ティナ・ターナー、ソニー&シェール、ウィリー・ネルソンらがレコーディングした楽曲を書いている[1]。
ヒルが他のアーティストに提供した楽曲にはドクター・ジョンの「Desitively Bonnaroo」(1974年)[7]、シェールの「I Wasn't Ready」(1968年)[8]、ディレイニー&ボニー、アレサ・フランクリンの「When The Battle Is Over」(1969年/1970年)[9][10]などがある。これらの楽曲はいずれもドクター・ジョンとの共作となっている。
ヒルが1971年にブルー・サム・レコードからリリースしたソロ・アルバムは成功には至らず、彼は飲酒問題も抱えて経済的な困難に陥るようになった。彼のこの問題は1977年にニューオーリンズに戻った後も続き、彼を救済するベネフィット・コンサートも行なわれたものの、公私に渡って運が大きく好転することはなかった[1]。
死去

ヒルは1996年9月17日、心不全と腎不全により、ニューオーリンズで死去した。63歳であった[1][11]。彼は、ニューオーリンズの貧困者のための墓であるホルト墓地に埋葬された[6]。
親族
ミュージシャンのジェイムズ・アンドリューズとトロンボーン・ショーティー(トロイ・アンドリューズ)兄弟はヒルの孫に当たる。二人はHBOのドラマ・シリーズ「トレメ/ニューオーリンズのキセキ」のエピソード7に揃って出演し、「Ooh Poo Pah Doo」を演奏している[12]。トランペット奏者のトラヴィス・"トランペット・ブラック"・ヒルは、彼の3人目の孫でニューオーリンズで生まれ育ったが、2015年5月4日、ツアー中の東京で28歳で死去している[13]。
ディスコグラフィー
アルバム
年 | アルバム名 | レーベル | 備考 |
---|---|---|---|
1971 | 『Naturally』 | Blue Thumb | |
1978 | 『You'll Lose A Good Thing』 | Crazy Cajun | シャーリー&カンパニーとの共作 |
コンピレーション・アルバム
年 | アルバム名 | レーベル | 備考 |
---|---|---|---|
1987 | 『Y'All Ready Now?』 | Charly R&B | |
『Can't Get Enough (Of That Ooh Poo Pah Doo)』 | Bandy |
シングル
年 | タイトル | チャート 最高位 |
B面 | レーベル | 収録アルバム | |
---|---|---|---|---|---|---|
米ポップ | 米R&B | |||||
1960 | 「Ooh Poo Pah Doo Part 1」 | 28 | 3 | 「Ooh Poo Pah Doo Part 2」 | Minit | |
「Whip It On Me」 | 91 | — | 「I Need Your Love」 | |||
「Scoop Scoobie Doobie」 | — | — | 「Highhead Blues」 | |||
1961 | 「I Got Mine」 | — | — | 「Oh Me Oh My」 | ||
「My Love」 | — | — | 「Oogsey Moo」 | |||
「It's My Fault」 | — | — | 「Sweet Jelly Roll」 | |||
1962 | 「Can’t Get Enough (Of That Ooh Poo Pah Doo)」 | — | — | 「The Pot's On A Strike」 | ||
1964 | 「Chip Chop (My Fair Lady)」 | — | — | 「Woodshed」 | Downey | |
「Understanding」 | — | — | 「Down The Street」 | |||
「Never Thought」 | — | — | 「T.V. Guide」 | |||
1965 | 「I'm Telling You People」 | — | — | 「If I Am Lucky」 | Kerwood | |
1967 | 「My Children, My Children」 | — | — | 「Something Ought To Be Done (About You)」 | Chess | |
1969 | 「Free And Easy」 | — | — | 「Mardi Gras」 | Pulsar | |
1971 | 「Naturally」 | — | — | 「Livin’ A Lie」 | Blue Thumb | 「Naturally」 |
出典
- ^ a b c d e f “Biography by Jason Ankeny”. AllMusic. 2011年9月2日閲覧。
- ^ Paul Du Noyer (2003). The Illustrated Encyclopedia of Music (1st ed.). Fulham, London: Flame Tree Publishing. p. 180. ISBN 1-904041-96-5
- ^ “A birthday party for the late New Orleans R&B icon Jessie Hill, at Ooh Poo Pah Doo Bar Monday night”. Nola.com. Times-Picayune (2014年12月9日). 2015年11月2日閲覧。
- ^ a b c Colin Larkin, ed (1995). The Guinness Who's Who of Blues (Second ed.). Guinness Publishing. p. 172. ISBN 0-85112-673-1
- ^ a b “Jessie Hill Chart History”. Billboard. オリジナルの2021-01-19時点におけるアーカイブ。 2025年9月20日閲覧。.
- ^ a b c Jeff Hannusch (2002年2月1日). “Masters Of Louisiana Music: Jessie Hill”. OffBeat magazine website. 2025年9月20日閲覧。
- ^ “Desitively Bonnaroo - Dr. John”. Allmusic. 2025年9月22日閲覧。
- ^ “Backstage - Cher”. Allmusic. 2025年9月22日閲覧。
- ^ “Accept No Substitute - Delaney & Bonnie”. Allmusic. 2025年9月22日閲覧。
- ^ “Spirit in the Dark”. Allmusic. 2025年9月22日閲覧。
- ^ “R&B Singing Legend Jessie Hill Is Dead”. Times Picayune (1996年9月24日). 2015年11月2日閲覧。
- ^ “'Treme,' Episode 7: Civil Dysfunction Meets Civil Disobedience”. NPR.org (2010年5月24日). 2025年9月20日閲覧。
- ^ Alison Fensterstock (2015年5月5日). “Travis 'Trumpet Black' Hill, rising New Orleans trumpeter, has died at 28”. NOLA.com. 2025年9月20日閲覧。
- ^ “Jessie Hill Discography: Vinyl, CDs, & More”. Discogs. 2025年9月20日閲覧。
外部リンク
- ジェシー・ヒルのページへのリンク