シェヘラザード_(ラヴェル)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > シェヘラザード_(ラヴェル)の意味・解説 

シェヘラザード (ラヴェル)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:47 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

モーリス・ラヴェルの《シェヘラザード》(《シェエラザード》とも、仏語Shéhérazade)には、1898年演奏会用序曲と、1904年の管弦楽伴奏歌曲集の2つの作品がある。

序曲《シェヘラザード》

ラヴェルは1890年代に、『千一夜物語』に基づくメルヘン・オペラの作曲の構想を練っていたが、なかなか進展を見ぬままに1898年に、「おとぎ話への序曲《シェヘラザード》(Shéhérazade : Ouverture de Féérie)」を書き上げる。翌1899年5月27日の国民音楽協会の演奏会でラヴェル自身の指揮で初演されるが、酷評されてしまう。しかもラヴェル自身も、リムスキー=コルサコフに影響されたオリエンタリズムドビュッシー全音音階が「ぎっしり詰め込まれている」のに嫌気がさして、「金輪際これらと縁を切る」ことにした。当然オペラは完成されなかった。

それからラヴェル生誕100周年の1975年に再発見され、出版されるまで、長年忘れられた存在となっていた。なお前年の1974年にはジャン・マルティノン指揮パリ管弦楽団がいち早く録音している[1]

まだパリ音楽院に在学中でガブリエル・フォーレに師事していた時期の作品であり、ロシア五人組の影響は明らかである。確かにその意味では学生時代の習作に過ぎないが、ソナタ形式による堅実な構成への好みや、色彩的で華麗な管弦楽法の手腕はすでに発揮されている。

シャルル・デュトワヤン・パスカル・トルトゥリエらがデジタル方式で録音している。ピエール・ブーレーズニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団在任中に、ステレオ方式の「ラヴェル管弦楽曲集」に収録したが、ドイツ・グラモフォンへの一連の再録音では取り上げていない。

歌曲集《シェヘラザード》

管弦楽伴奏歌曲集《シェヘラザード》は、ラヴェルの代表的な声楽曲の一つ。トリスタン・クリングゾール(Tristan Klingsor)の詩に曲付けされたソプラノ用の声楽曲で、長さのまちまちな以下の3曲から構成されている。

  • 第1曲「アジア」 Asie
  • 第2曲「魔法の笛」 La Flûte enchantée
  • 第3曲「つれない人」 L'Indifférent

最も長い第1曲が、細部にわたって申し分のない筆致で進められている。ラヴェルの常として、熟練した管弦楽法が発揮されている。

1904年5月17日に、サル・デュ・ヌーヴォー・テアトルで行われた国民音楽協会の演奏会において、アルフレッド・コルトーの指揮とパリ・オペラ座の歌手ジャーヌ・アトー(Jeanne Hatto)によって初演が行われた。当時のフランス音楽界における保守派の代表者ヴァンサン・ダンディは、これまでのラヴェルの作品の中で最良のものと評価した[2]

脚注

  1. ^ Ravel: Orchestral Works - Jean MartinonAllMusic、2012年7月27日閲覧
  2. ^ アービー・オレンシュタイン、井上さつき『ラヴェル 生涯と作品』音楽之友社、2006年、53ページ

外部リンク

序曲「シェエラザード」の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

歌曲集「シェエラザード」の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト


「シェヘラザード (ラヴェル)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シェヘラザード_(ラヴェル)」の関連用語

シェヘラザード_(ラヴェル)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シェヘラザード_(ラヴェル)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシェヘラザード (ラヴェル) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS