なぜ働いていると本が読めなくなるのか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/19 08:18 UTC 版)
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(なぜはたらいているとほんがよめなくなるのか)は、三宅香帆の著書。
概要
この書籍のテーマというのは労働と読書の両立が難しいということに皆が悩んでいるということであったのだが、著者がこのような視点を持つようになったきっかけというのは『花束みたいな恋をした』を観たことが大きかったとする。そこでは小説や漫画を読むことが趣味であるということで合っていたカップルは、仕事が忙しくなり本や漫画を読まなくなったことからすれ違うようになったというところに共感して、働いていて本が読めなくなるというのは大きな問題であるというのに本格的に言及されていないと思い『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が思い付いていた[2]。
働いていると本を読めなくなる理由としては、自分に関係のない知識や文脈を取り入れるのが難しくなるからであるとしている。仕事に注力しているならば、余暇の過ごし方までもビジネスに役立つかや、自分にとって効率の良い過ごし方をできているかという発想になる。そして読書という営みは今の自分とはどのように繋がっているのかを想像しづらい側面があり、仕事で疲れているならば、今の自分とは関係の無い外部の文脈には触れにくくなるからであろうとする[3]。
著者はこの書籍がヒットした要因というのは、書店の影響が大きいとしている。この書籍というのは集英社のサイトでの連載がベースとなり書籍化したのだが、連載当時から多くの人に読まれているものであった。これが書籍化されるときに東京の大きな書店がたくさん発注して、このことを知った他の書店はあの書店が多く発注するとはと思い、この流れがヒットの要因としては一番大きかったとする[2]。
この書籍は新書としては異例の売れ行きとなり、刊行から1週間で累計発行部数は10万部を突破[4]。6月22日の時点で6刷に達する[5]。
新書大賞2025受賞。日本出版販売の2024年年間ベストセラー新書ノンフィクション部門で1位。書店員が選ぶノンフィクション大賞2024受賞。紀伊國屋じんぶん大賞2025で3位。キノベス2025で5位。2024年9月20日に放送の『ワイド!スクランブル』の特集になる[6]。
脚注
- ^ “なぜ働いていると本が読めなくなるのか”. 集英社新書プラス. 2025年10月9日閲覧。
- ^ a b “ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者が、疲れ切った会社員に薦めたい本とは?”. ダイヤモンド・オンライン (2024年11月21日). 2025年10月9日閲覧。
- ^ “なぜ働いていると本が読めない? 「忙しい」だけではない根本的理由”. PHPオンライン. 2025年10月9日閲覧。
- ^ “発売1週間で累計10万部突破の異例の反響……三宅香帆さん「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」”. 読売新聞オンライン (2024年6月25日). 2025年10月9日閲覧。
- ^ Inc, Nikkei (2024年6月22日). “なぜ働いていると本が読めなくなるのか 三宅香帆著 ビジネス書読者層の共感得る”. 日本経済新聞. 2025年10月9日閲覧。
- ^ “なぜ働いていると本が読めなくなるのか”. 集英社新書. 2025年10月9日閲覧。
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