SHORT PEACE
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GAMBO
『GAMBO』(ガンボ)は、大熊と鬼との激闘を重量感たっぷりに描写した作品[3]。監督は、大友の『スチームボーイ』のCG監督や『FREEDOM-PROJECT』の演出を務めた安藤裕章、クリエイティブディレクターに石井克人、キャラクター原案にエヴァンゲリオンシリーズの貞本義行を迎えて制作された[3][5]。安藤は『火要鎮』の演出も担当し、それを終えた後に石井克人の企画書をもとに監督を担当することになった[13]。
作品のテーマは暴力。「鬼」とは外からの暴力であり、「熊」はそれに対する内からの暴力で、その象徴的な二つの暴力のぶつかり合いの話という意味付けがなされている[13]。安藤は、「目をそらすような、それでも目が離せないギリギリの緊張感を楽しんで欲しい」という[13]。
『GAMBO』というタイトルは、石井が「音の響き」で決めたが、安藤はそこに「少女の破壊願望」という意味も含めている[13]。
映像としてねらったのは、CGを使って絵画的な雰囲気のままアニメーションとして動かすこと[13]。また、バイオレンス作品としての荒く力強い画面を3DCGの技術を活用して描いている[13]。
あらすじ
16世紀末の戦国時代末期。最上領(東北地方)の山中に、天空より何かが落下した。その直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして、寒村に暮らす少女カオは人の言葉を理解する神秘的な白い熊と出会い、カオはその熊に救いを求めた[13]。鬼の巣に向かった熊は、鬼に捕まっていた女に出会う。鬼の子を身ごもった女に自分を殺すよう嘆願された熊は、願いを聞き入れて鬼の巣ごと破壊する。熊は戻って来た鬼と死闘を演じるが、カオは恐怖から逃げ出そうとして侍の青年にたしなめられ、熊のために祈るように言われる。侍の青年は駆けつけた鉄砲隊とともに鬼に蹴散らされるが、熊は鬼と相打ちとなる。
キャスト
- カオ
- 声 - 田村睦心[14]
- 最上領に住む少女。民衆を襲撃する鬼になすすべなく、悔しさをにじませる。現れたガンホに助けを求め、ガンホと鬼の死闘の前から逃げ出そうとするも二元次の叫びを聞き祈り続ける。鬼を退治した後絶命したガンホの前でありがとうと泣き叫ぶ。
- ガンホ
- 声 - 酒井敬幸[注 2]
- カオの前に現れた白い熊。カオの懇願を聞き鬼の巣を攻撃する。帰ってきた鬼と死闘を演じ、最後は致命傷を負いながらも鬼を噛み殺し、絶命する。
- 鬼
- 声 - 室園丈裕[注 2]
- 最上領に突如現れた赤い鬼。宇宙船らしき巣からして宇宙人と推測される。シカを連れて巣に連れ帰るも、獲物をとっている間にシカを巣ごとガンホに破壊されて怒り狂う。ガンホや二元次、さらには最上兵を次々となぎ倒していくも最後はガンホに噛み殺される。
- 二元次
- 声 - 浪川大輔[14]
- 最上氏に仕える侍の青年。着物にあった家紋は明石屋に似た「丸に十文字」。兵を連れ鬼退治に出るが返り討ちに遭う。ガンホと鬼の死闘から逃げ出そうとするカオに対し逃げずに祈れと叫び、ガンホを助けるため長槍を持って襲撃をするが再度払われてしまう。重傷を負いながらも生存。
- シカ
- 声 - 宮川美保[注 2]
- 最上領に住む女性。家族と共に鬼に拉致され、巣の中で鬼の子を妊娠させられていた。ガンホが現れると殺してくれと嘆願し、巣ごと爆死する。
- 村長
- 声 - 糸博[注 2]
- 最上領にある村の長。起き上がった鬼を退治するよう二元次に依頼する。
- 猿一
- 声 - 田尻浩章[注 2]
- 二元次と共に鬼退治に出るも返り討ちに合う。
- 最上軍隊長
- 声 - 森一馬[注 2]
- 鬼退治のため兵を連れて現れ、馬に乗り指揮を執っていた。鬼を倒した後、カオに対し「この白い熊は何者だ?」と問いただす。
- シカの母
- 声 - 風村綾乃[注 2]
- シカと共に鬼を家に連れて看病するが、起き上がった鬼に殺される。
- シカの夫
- 声 - 河相智哉[注 2]
- シカと共に鬼を家に連れて看病するが、起き上がった鬼に殺される。
- 僧侶
- 声 - 仁科洋平[注 2]
- シカの家でお経を唱えていた人物。シカの夫や母が殺された後も祈り続けており、生死は不明。
スタッフ
- 監督:安藤裕章
- 原案・脚本・クリエイティブディレクター:石井克人
- キャラクターデザイン原案:貞本義行
- 脚本:山本健介
- キャラクターデザイン・作画監督:芳垣祐介
- 美術監督:本間禎章
- CGI監督:小久保将志
- CGアニメーションチーフ:坂本隆輔
- 色彩設計・色指定:久保木裕一
- コンポジットチーフ:佐藤広大
- 音楽:七瀬光
- 音響監督:鶴岡陽太
注釈
出典
- ^ a b c “映画「SHORT PEACE」特集、大友克洋1万字インタビュー”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2013年12月18日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f 真狩祐志 (2013年3月2日). “「SHORT PEACE」7月20日公開決定 大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメ、4監督が競演”. アニメ!アニメ!. イード. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “INTRODUCTION”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c “大友克洋最新アニメ「SHORT PEACE」劇中写真を一挙20点独占公開”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム (2013年3月19日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t “PRODUCTION NOTE”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ “STAFF&CAST”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. オープニング. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g “九十九”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c “STAFF&CAST”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 九十九. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “火要鎮”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c “第16回 (2012年) アニメーション部門受賞作品 大賞 - 火要鎮”. 文化庁メディア芸術祭 (2022年1月29日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b “大友克洋監督に「SHORT PEACE 火要鎮」の映像表現の凄さを語ってもらった”. GIGAZINE. 株式会社OSA (2013年7月20日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b “STAFF&CAST”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 火要鎮. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g “GAMBO”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b “STAFF&CAST”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. GAMBO. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b c d “武器よさらば”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e “STAFF&CAST”. 映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト. 武器よさらば. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』映画とゲームがワンパッケージになって登場決定”. ファミ通. KADOKAWA (2013年9月19日). 2022年11月29日閲覧。
- ^ a b c “大友克洋監督らが「日本」をテーマに作ったオムニバス映画「SHORT PEACE」製作発表会見”. GIGAZINE. 株式会社OSA (2013年3月22日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ “宮崎駿監督『風立ちぬ』が今年最高のオープニング! 順風満帆の1位スタート!”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2013年7月23日). 2022年12月1日閲覧。
- ^ “アニメーション部門|大賞”. 第16回文化庁メディア芸術祭. 2013年3月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “毎日映画コンクール:大友克洋監督と「おおかみこども」の細田守監督ら受賞者が喜びの声”. MANTANWEB. 2021年7月17日閲覧。
- ^ “アニメーション部門|審査委員会推薦作品”. 第16回文化庁メディア芸術祭. 2013年3月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “アカデミー賞短編アニメ賞に森田修平監督『九十九』がノミネート!【第86回アカデミー賞】”. シネマトゥデイ. 2015年5月6日閲覧。
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