連邦準備制度 連邦準備制度の概要

連邦準備制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/25 03:26 UTC 版)

連邦準備制度
Federal Reserve System
本店 ワシントンD.C.
20th Street and Constitution Avenue NW
位置 北緯38度53分34.8秒 西経77度2分44.8秒 / 北緯38.893000度 西経77.045778度 / 38.893000; -77.045778
連邦準備制度理事会議長 ジェローム・パウエル
アメリカ合衆国
通貨 アメリカ合衆国ドル
USD (ISO 4217)
基準貸付利率 3.25%
預金基準金利 3.5%
ウェブサイト federalreserve.gov

歴史

連邦準備銀行の株主

連邦準備制度理事会は政府機関であるが、各連邦準備銀行は株式を発行する法人である。ただし、合衆国政府は連邦準備銀行の株式を所有しておらず、各連邦準備銀行によって管轄される個別金融機関が出資(=株式の所有)義務を負っている[1][2][注釈 1]。また、個人や非金融機関の法人は連邦準備銀行の株式を所有できない。

個別金融機関による出資額は金融機関の資本規模に比例するが、連邦準備銀行理事を選出する際の投票権は出資規模に関わらず一票ずつであるため、大手銀行が主導権を握るといったことはできない[2]

連邦準備法により[3]、連邦準備銀行の株主が連邦準備制度に及ぼす影響力はきわめて小さいものに限定されている。連邦準備法における連邦準備銀行の株主の位置づけは、9人の連邦準備銀行理事のうち6人を選定するにすぎない(他の3人は連邦準備制度理事会が指名)[4]。また、連邦準備銀行理事の権限は理事長の選出のみであり、その理事長の権限も以下のものに限られている。

  • 連邦公開市場委員会(FOMC)委員12人中5人の選出[5]
  • 連邦準備制度理事会への提言[6]

連邦準備制度は大統領の指名と議会の承認による連邦準備制度理事会の主導により運営されている。但し、連邦準備制度理事会が政府機関であるのに対し、連邦準備銀行が民間企業の形式を採っているのは事実である。とはいえ完全な民間企業とも言えず、両者を折衷した性格を持っている[2]

主要業務

フェデラル・ファンド金利の推移(1954年~2005年)

中央銀行としての一般的な業務は次のようなもの。

以下は新しい知見となりうるもの。

実際、支払制度が十分に維持されているとは言いがたい。2016年2月にバングラデシュ銀行が不正送金で損害を受けた事件をめぐり、バングラデシュ警察が捜査したところ、FRBはファイアウォールを有効にせずに10ドルの中古ルーターで国際銀行間通信協会に接続していたことが分かった[7]。他にもずさんな実態の中央銀行があるものと世界銀行関係者が見ている。

金融政策の独立性については発足当時政府の影響を強く受けたとされる。この点、ミルトン・フリードマンなどが、「世界恐慌にまで発展した1920年代のアメリカの金融バブル崩壊に際して、連邦準備制度が明白な不作為によって事態を深刻化させた」と指摘する。この考え方は今ではベン・バーナンキ(第14代議長)をはじめとする経済学者に広く受け入れられている[8]。戦後、ブレトンウッズ体制がスタートし、FRBと財務省が協定を締結し、金融政策の独自性を持つようになったとされる。


注釈

  1. ^ 日銀は、日本政府が株式(正確には出資証券)の55パーセントを保有し、残りが公開市場(ジャスダック)で流通されている。
  2. ^ 即時グロス決済資金移動ネットワーク。日銀ネットのようなもの。個人手形交換所の CHIPS と結合し、プライベートの有限会社に運用されている。
  3. ^ 自動手形交換制度。実質的な証券集中保管機関。
  4. ^ NACHA は ACH のスポンサー。1974年という、国際決済オンライン化が世界で一気に普及した時期に設立されたNPO

出典

  1. ^ 連邦準備制度理事会 (2007年3月7日). “FRB: FAQs: Federal Reserve System”. 連邦準備制度. 2010年6月17日閲覧。
  2. ^ a b c Woodward, G. Thomas (1996-07-31). “Money and the Federal Reserve System: Myth and Reality - CRS Report for Congress, No. 96-672 E”. Congressional Research Service Library of Congress. http://home.hiwaay.net/~becraft/FRS-myth.htm 2010年6月17日閲覧。. 
  3. ^ http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/fract.htm
  4. ^ http://www.law.cornell.edu/uscode/html/uscode12/usc_sec_12_00000302----000-.html
  5. ^ http://www.law.cornell.edu/uscode/12/263.html
  6. ^ http://www.federalreserve.gov/aboutthefed/fac.htm
  7. ^ ZuuOnline バングラデシュ銀不正送金問題「FRBは中古10ドルのルーター使用 2016/4/30
  8. ^ Wood & Woods 1990, p. 420
  9. ^ アメリカ国務省. “米国の統治の仕組み – 連邦政府”. アメリカンセンターJAPAN. 2016年4月10日閲覧。
  10. ^ “FRB新体制発足 パウエル新議長が宣誓” (日本語). 日本経済新聞 電子版. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26524780V00C18A2FF2000/ 2018年10月11日閲覧。 
  11. ^ a b “Jerome Powell Sworn In for New Term as Fed Chair”. Investopedia. (2022年5月24日). https://www.investopedia.com/jerome-powell-sworn-in-for-new-term-as-fed-chair-5323150 2022年5月30日閲覧。 
  12. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “パウエル(ぱうえる)とは”. コトバンク. 2019年12月15日閲覧。
  13. ^ 連邦準備制度理事会のホームページに掲載されたブレイナードの経歴(英語)
  14. ^ a b “FRB副議長を承認 米上院銀行委: 日本経済新聞” (日本語). 日本経済新聞. (2018年6月13日). https://r.nikkei.com/article/DGXMZO31695490T10C18A6000000?s=0 2018年10月11日閲覧。 
  15. ^ 中央銀行ボードメンバー|みんかぶFX”. fx.minkabu.jp. 2019年12月14日閲覧。
  16. ^ 米上院、ボウマンFRB理事の再指名を承認 任期2034年まで - ウェイバックマシン(2019年12月14日アーカイブ分)


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