逃走の罪 被拘禁者奪取罪

逃走の罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/16 08:12 UTC 版)

被拘禁者奪取罪

法令により拘禁された者を奪取した者は、3か月以上5年以下の懲役に処せられる(刑法第99条)。

客体

本罪の客体は「法令により拘禁された者」であり、本罪の客体には単純逃走罪や加重逃走罪で主体とされる者に加えて、現行犯逮捕や緊急逮捕された者も含まれるというのが通説的見解である[3]。ただし、刑事司法実現のための拘禁である必要があり、児童自立支援施設に入所中の者や精神保健福祉法により入院措置を受けた者は含まないとされる[3]。一方、少年院に保護処分として収容された者は含まれるとした下級審の判決がある(福岡高宮崎支判昭和30年6月24日高刑特2巻12号628頁)。

行為

本罪の行為は「奪取」である。

未遂

本罪は未遂も罰する(刑法第102条)。

逃走援助罪

法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、3年以下の懲役に処せられる。 また、法令により拘禁された者を逃走させる目的で、暴行又は脅迫をした者は、3か月以上5年以下の懲役に処せられる(刑法第100条)。

目的犯

本罪は成立に「法令により拘禁された者を逃走させる目的」を要する目的犯である。

客体

本罪の客体は「法令により拘禁された者」である。

行為

本罪の行為は、器具の提供その他逃走を容易にすべき行為をすること又は暴行・脅迫である。

既遂時期

器具の提供その他逃走を容易にすべき行為をした時点、あるいは暴行や脅迫をした時点で既遂に達する。実際に拘禁された者が逃走することを要しないとされる。但し、看守者逃走援助罪の場合は、拘禁された者が逃走した時点で既遂に達する。

未遂

本罪は未遂も罰する(刑法第102条)。

看守者等による逃走援助罪

法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、1年以上10年以下の懲役に処せられる(刑法第101条

主体

本罪の主体は「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者」である(身分犯)。

客体

本罪の客体は「法令により拘禁された者」である。

未遂

本罪は未遂も罰する(刑法第102条)。


  1. ^ a b 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年)466頁
  2. ^ a b 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年)467頁
  3. ^ a b c 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年)468頁


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