軍人将棋 駒の配置

軍人将棋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 14:57 UTC 版)

駒の配置

このゲームの要となるのが駒の配置である。一般の将棋のように開始時の配置が決まっているのではなく、自分の陣地内であれば以下の禁止事項を除き、どの駒をどこに置いてもよい。

  • 突入口に地雷もしくは軍旗を置く[3]
  • 自陣最後尾列に軍旗を置く

このうち、後者は禁止事項ではあるが、最後列の軍旗はどの駒にも負ける無駄駒になってしまい、開始時から他の駒1つ分の威力を失っている事になるため、一般的には罰則を設けないことが多い。

総司令部に置く駒について

31枚型・23枚型

総司令部は通常、2マス分の広さがあるが、他のマスと同様、1つしか駒を置けない。前述の通り、将官や佐官を相手の司令部に入れることを目的とする。よって、尉官、騎兵、工兵は佐官や将官に必ず負けるので総司令部は置かないほうがよい。スパイは大将だけには勝てるがそれ以外にはことごとく負けるため、総司令部に置いたとき、残った駒の条件によるが、負けて占領される確率が圧倒的に高い。飛行機や工兵にも負けるので、地雷確認のために前もって倒される恐れもある。少佐や中佐も、司令部を占領できる駒の中では弱いので負ける確率が高い。タンクは佐官には勝てるが、敵の飛行機や工兵によって排除される可能性もあり、将官にも負けて占領される。

更には、司令部の防御を飛行機だけに任せることも好ましくないとされる。一見すると、2列のどちらにも飛ぶことができ、敵司令部を常に狙えるベストポジションのように見えるが、飛んだ時点で司令部は空になるので、司令部に隣接するマスに敵の佐官があった時も(飛行機は佐官に負けることはないが)、その隙に侵入されることもある(佐官でも敵司令部に侵入すれば、その時点でゲームの勝ちであり、その後倒すことはできない)。また、司令部やその周辺は地雷除去のためや、道を作るために敵の飛行機に攻撃されることも多く、すぐ近くに将官がいない限り飛行機同士が相打ちして、司令部が開いてしまう恐れもある。こうなると、司令部のすぐ近くが弱い駒しかないときは、簡単に占領されやすくなる。また、工兵や、尉官、騎兵で地雷確認をされた後(飛行機ならばこれらの駒に勝てるが、将官には負けるため)、すぐ近くのマスに敵の将官がいれば負けが確定したようなものである。

地雷は司令部を占領できる駒に勝てるので、司令部に置けば1回だけ占領を防ぐことができる。飛行機や工兵、あるいは尉官や騎兵による相打ちで地雷を除去しても余分に手数がかかるので、手数稼ぎにはなる。しかし、地雷は1度限りの手段であるため、地雷が司令部から除去された後、回りが弱い駒ばかりならば上記の例と同様に占領されやすくなる。従って司令部に地雷を置く場合は、地雷がなくなった後のことも考えなければならない。

以上の理由から、司令部またはその近くには将官が1枚以上あるとよい。特に初心者は、大将を置くことが最も勧められる(司令部に地雷などを置き、その隣に大将を置くのもよい)。大将を置けば、中将以下による占領は単独で防ぐことができ、スパイには負ける代わりに占領されない。中将は大将に負けるので、近くにスパイを置いて守らなければいけないが、スパイが飛行機などで倒された時には、敵の大将が地雷を踏むことを祈るしかなくなってしまう。大将の天敵はスパイであるが、スパイは大将以外のどの駒にも負けるので、種類がわからない敵の駒が大将に向かって来たときには、大将とスパイ以外の駒を当てて、スパイかどうかを確認するのがよい。その味方の駒が負けた時には相手はスパイでないと分かる。(スパイは大将よりも排除しやすいので、司令部の防御には大将が最も向いているといえる)


注釈

  1. ^ 軍人将棋においては戦車をタンクと呼ぶことも少なくない。
  2. ^ 木製の駒は、木目に沿って割れ目や欠け等が発生した場合、それが目印になって駒の種類をプレーヤーに記憶されてしまう状況が頻繁に起こった。また木目は駒によって異なるので、そのことも判断材料になることもあった。プラスティックならば、傷や割れ目、汚れがない限り、どの駒も一様にできるので、上記のような心配がなくなった。
  3. ^ 特に、始めから大将を使ったときは、どの駒を倒したかわからない。
  4. ^ 例えば極端な例として、互いにスパイと大将だけが生き残っていたとき、互いにスパイを出して相殺することがありえる。
  5. ^ 殊に、総司令部に軍旗を置いてしまうと、味方の駒が入れない上に、そこに何もないことと同じになってしまうので、総司令部には絶対に置かないこと。
  6. ^ すぐには地雷と悟られない意味合いもある。 極端な例として、相打ちではなく 中将とスパイ(または、大将+少尉、大将+騎兵など)を当てても勝てないとなると もう地雷しかない、と言うかたちで推理する。これにより、時には早いうちから強い駒が撤去される可能性もあり、片方(あるいは双方)の難易度が上がる事もある。 反面、一般ルールと同様に騎兵または尉官+工兵(飛行機は勝てる駒が多いので勝った時に それが地雷か判断し難い)を当てる戦術もあるが、地雷だと確信するまでは可能な限り被害を少なくしなければならない。よって、このルールではまだ動いていない駒に飛行機以外の駒を当てることは駒の損失につながる恐れがあるため、特に将官は動いている駒にのみ当てるようにする(これは一般ルールにも共通して言える。)。 総じて、尉官など弱い駒で(判定は負けだが事実上の相打ちにより)地雷を撤去できる一般ルールと比較すると、地雷を残すルールは難易度が高くなるといえる。
  7. ^ 一例として、地雷の場合は一般ルールと同じでゲーム終了まで動かせないが、中将の場合は 動ける中将の駒が2つ存在する事になる。
  8. ^ 旧陸軍において、少尉が連隊旗手を務めていたことを意識していると思われる。
  9. ^ このルールでは、敵司令部までの経路が開いていれば、一手で工兵は司令部にたどり着いて地雷確認ができる。一般ルールに比べて敵司令部にたどり着きやすい。一方で自軍の司令部に地雷やスパイを置いたときには、工兵から守るために、回りを他の駒で囲んで守る必要がある。
  10. ^ 一般ルールでは、工兵はほかの駒に比べて少ない手数で敵司令部にたどり着くことができるが、このルールでは1マスずつしか進めないのでたどり着きにくくなる。
  11. ^ ただし、このタンクにおける勝敗は 現在まで登場した各種のTVゲームのメディアを含め一般ルールとして定着しており、ソフトメーカーは既にデファクトスタンダードルールとして認めている事になる。TVゲームからユーザーが増加していけば混乱を招くおそれもある。以上の事から、将来的には公式に覆る可能性も否定できず、今やローカルルールとは言えない状況にある。なお、この問題を打開する方法として、タンクを重戦車軽戦車(あるいは重戦車とタンク)に分けて、前者が工兵に勝ち、後者は負けるようにするルールも提案されている。
  12. ^ このルールでは、飛行機をどこに置いても、狙った駒を直接攻撃できる。スパイを動かす際には、飛行機に狙われる危険が大きくなる。
  13. ^ この場合あらゆる駒に敗れる、とされることもある。

出典

  1. ^ "行軍将棋". 改訂新版 世界大百科事典. コトバンクより2024年1月22日閲覧
  2. ^ 軍人将棋の世界 "軍人将棋連盟"
  3. ^ a b c 軍人将棋とは?ルールと遊び方・魅力を紹介。AIに勝てなくなってきた今こそやってみたい!”. 和樂web 美の国ニッポンをもっと知る! (intojapanwaraku.com). 小学館 (2019年11月8日). 2024年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月22日閲覧。
  4. ^ 高橋浩徳「日本と世界の行軍将棋 : 軍人将棋の発祥は日本だった」『大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要』第18号、大阪商業大学アミューズメント産業研究所、2016年6月、101-176頁、ISSN 1881-1949NAID 120006468668 
  5. ^ 増川宏一『日本遊戯史 古代から現代までの遊びと社会』平凡社、2012年、276-277頁。ISBN 978-4-582-46814-4 






軍人将棋と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「軍人将棋」の関連用語

軍人将棋のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



軍人将棋のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの軍人将棋 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS