車輪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 09:08 UTC 版)
構造と機能
車輪は物体を地表に押し付ける力があるとき、その物体を地表に沿って効率的に動かすことを可能にする機械(機構)である。
車輪と軸は常に組み合わせて使われ、軸に対して車輪が回転するか、本体内で軸が(車輪と共に)回転する。どちらにしても機構的には同じである。
車輪と軸を使う際の抵抗力が単に物体を引きずった場合よりも小さくなるのは次のように説明できる(摩擦を参照):
- 摩擦を生じる接触部分にかかる垂直力は同じである。
- 軸が一回転することで車輪が一回転すると、軸の外周のぶんだけの摩擦距離で、車輪の外周のぶんだけ進むことになり、摩擦の生じる距離が大幅に小さくなる。
- 摩擦の生じる接触面が全て機構の中にあるため、地面との摩擦よりも摩擦係数をかなり低くできる。
摩擦面の摩擦を低減するのに軸受が使われる。最も単純な最古の軸受は単なる丸い穴で、そこに軸を通した(すべり軸受)。
例:
- 100 kg の物体を 10 m 引っ張るとする。摩擦係数 μ = 0.5 で、垂直力は 981 N とすると、なされる仕事(必要とされるエネルギー)は「仕事 = 力 × 距離」なので、981 × 0.5 × 10 = 4905 ジュールである。
- ここで同じ物体に4つの車輪をつける。4輪と軸の間の垂直力は以前と(合計では)同じで 981 N である。車輪と軸が木製だとして、その摩擦係数を μ = 0.25 と仮定する。車輪の径を 1000 mm、軸の径を 50 mm とする。これを 10 m 移動させるとすると、摩擦面がこすられる距離は 0.5 m となる。したがってなされる仕事は 981 × 0.25 × 0.5 = 123 ジュールである。したがって、物体を直接ひきずる場合の 1/40 で済む。
追加のエネルギーが車輪と地面の接触で失われる。これは主に変形損失であり、転がり抵抗と呼ばれる。
地面の凸凹に対して車輪の径が十分大きければ、不規則な地面の上を楽に移動出来るという利点もある。
車輪単体は機械とは言えないが、軸や軸受と組み合わせることで、輪軸という単純機械になる。車両の車輪も輪軸の一例である。
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