赤い糸 (小説)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 09:15 UTC 版)
概要
2006年7月に、ケータイ小説総合サイト「魔法の図書館」のランキングに登場し、1ヵ月後には、早くもランキング1位となった。その後、長期間に渡って1位をキープした。2007年に書籍化し、現在は5冊まで発表している。累計330万部[1]。特に、女子中高生に高い人気を得ている。
ストーリー
赤い糸
主人公・芽衣は、姉の春菜、幼なじみの悠哉の三人で一緒の時間を過ごすことが多かった。 実は、芽衣は悠哉に好意を抱いていたのだが、悠哉から姉・春菜への気持ちを聞き、自分の悠哉への好意を明かさない決意をする。
中学生になった芽衣は、級友のアツシと交際を始めるが、このアツシとの関係は、アツシと水商売の女との二股、ドラッグを使用した性交渉などを経て、破綻する。その後、芽衣は、失恋のショックの反動から、コータと、恋愛感情のない性交渉を繰り返し、親にも反抗して家を飛び出し、煙草を吸うなどしながら夜道を歩いていたところを、不良にひっかかり、友人・美亜と一緒に、避妊なしで激しく輪姦されたり、友人が自殺未遂で記憶喪失になったり、自分が養子であることが判明し両親が離婚するなど、想像を絶する数奇な遍歴をたどるなか、たかチャンと出会う。
しかし、たかチャンは、芽衣の親友・沙良が好意を寄せていた相手だった。それを承知で、友達を裏切りながらも、芽衣はたかチャンと付き合い始める。だが、たかチャンの嫉妬、暴力などによって、結局、別れを決意するなど、さまざまな男との出会いと別れを繰り返し、芽衣の友人・優梨とナツの間には子供ができる。しかし、運命の赤い糸はまだ見つからなかった。
赤い糸 destiny
あるとき、昔の友人が集まった。そのとき、別の彼女(麻美)と一緒にいるアツシの姿を目にして動揺する。さらに、芽衣の父親の病気治癒を神社に祈るアツシの心情を知って、芽衣はさらに心を動かされる。 が、折悪しく、芽衣が、ドラッグ・パーティーから持ち帰った薬物を、かつて一緒に輪姦された友人・美亜が使ってしまい、薬物中毒に陥る。
芽衣は、美亜への呵責と対処に悩み、さらに、人格障害をもったアツシの現在の彼女・麻美からの嫌がらせにも苦しめられる。結局、芽衣は、アツシと付き合うようになるが、麻美からの嫌がらせは止まなかった。麻美は、アツシの母親の経営する店への融資がらみのいやがらせ、芽衣の輪姦事件を表沙汰にするなど、芽衣とアツシの別離を画策する。しかし、アツシが身を挺して自動車から芽衣を救ったのを目にしてから、麻美はようやく嫌がらせを止める。
芽衣の実母の話が語られ、 アツシは自殺した芽衣の実母のホステス仲間の子であった。
さまざまな困難を乗り越えた芽衣とアツシは、最後に赤い糸で結ばれ、結婚することとなった。
赤い糸 precious
芽衣とアツシは結婚式を目前に控えていたが、就職したアツシは会社の上司との付き合いの飲みで帰りが遅くなることが多くなり、芽衣との間にすれ違いが増えていく。キャバクラへ行ったことを芽衣に内緒にしていたこともあり、やがて二人は別居するようになる。芽衣は友達と相談しながらも思い悩むが、結局は再びアツシと二人で住むことを決意し、結婚式の日を迎える。
書籍情報
ゴマブックスより2007年に単行本が発売。単行本は、タイトルを意識して本文は赤い字で印字されている[2][3]。2009年にゴマ文庫にて文庫化。
- 赤い糸
- 赤い糸(上/下)2007年1月26日(同時発売)
- 赤い糸 上・下クリスマスBOX(上記のセット販売) 2007年10月18日 ISBN 4777107701
- 赤い糸(上/中/下)(文庫版)2009年4月28日(同時発売)
- 赤い糸 destiny
- 赤い糸 destiny(上/下)2007年5月25日(同時発売)
- 赤い糸 destiny(上/中/下)(文庫版)2009年4月28日(同時発売)
- 赤い糸 precious
- 赤い糸 precious 2007年11月30日 ISBN 4777108171
- 赤い糸 precious(文庫版) 2009年4月28日 ISBN 477715128X
- ^ “ゴマブックスが民事再生を申請”. ITmedia. 2009年9月7日閲覧。
- ^ 杉浦由美子 『ケータイ小説のリアル』 中央公論新社、2008年、24頁。ISBN 978-4121502797。
- ^ 石原千秋 『ケータイ小説は文学か』 筑摩書房、2008年、22頁。ISBN 978-4480687852。
- ^ 本田透 『なぜケータイ小説は売れるのか』 ソフトバンククリエイティブ、2008年、148-150頁。ISBN 978-4797344028。
- ^ 速水健朗 『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』 原書房、2008年、26-31頁。ISBN 978-4562041633。
- ^ 『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』177-183頁。
- ^ 2009年度興収10億円以上番組(日本映画製作者連盟 2010年1月発表)
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