神魂神社 祭神

神魂神社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/19 03:06 UTC 版)

祭神

主祭神
配祀神

祭神については、神魂神社神主を世襲で努めた秋上家の文書によると、中世末期から近世初期ごろに、上記の祭神とすることが多く、それ以前の祭神は不明である[6]。時代が下って寛文年間ごろの新嘗会祝詞には、熊野大神大己貴命などの神名が見えるが、当社の創始が出雲国造家の私的祭祀や邸内の社と考えられ、出雲国造家と関わりの深い熊野大社や出雲大社に深く関わる祭神であったからと考えられる[6]。また社名から、出雲氏族の一つの神魂命が元の祭神であったとも考えられている[1]

神紋

二重亀甲に「有」の文字[10]

境内

  • 一の鳥居
  • 二の鳥居
  • 本殿 - 国宝(後述)
  • 拝殿
境内社[11]

本殿(国宝)

本殿は国宝に指定され、心御柱古材に「正平元年丙戌十一月日」の墨書銘がある[12]。柱古材は、正平元年(1346年)の柱と考えられるが、社殿は落雷により消失したため、現在の社殿は天正11年(1583年)に古式に則って再建されたものである[1]。室町時代の造営形態を引き継ぐ神魂神社本殿は、出雲大社よりも古い形式の大社造りをよく保存し[13]、出雲国(島根県東半部)にのみ分布する大社造のなかの最古の遺構である[8]

出雲大社本殿に類似するが、規模は小さく広さは約5.5 メートル四方、切妻造り、妻入りの東向き、正面の右側に階段があり、内部は敷き[8]。屋根は栃拭き、3本の鰹木と「女千木」と呼ばれる内削ぎの千木が乗る。本殿内の梁や柱は丹塗で、鏡天井に八雲、中央の梁に竜と雲が描かれ、8ケ所の壁面に、狩野山楽土佐光起による彩色豊かな絵が描かれ、正面入り口の本殿向かって左の扉は「月の扉」、右の扉は「日の扉」とよばれ、それぞれ満月と太陽が昇る舞楽の図が扉内側に描かれている[8][14][15]。扉は祭礼の日に開けられるため、舞楽の図を見ることができる[15]。本殿外壁は丹塗がされていないが、内部に丹塗が残ることから、かつて外壁にも丹塗が施されていたと考えられている[15]

入口の階段は出雲大社と同様に正面に向かって右にあるが、殿内の中心に建つ心御柱(しんのみはしら)と脇の板壁および神座の位置と向きは、出雲大社とは反対になっており[8][16]、大社造には男造(おづくり)・女造(めづくり)と呼ばれる二つの内部構造があり、出雲大社は男造、神魂神社は女造となる[17]

本殿模式図 左:男造の出雲大社本殿、右:女造の神魂神社本殿

  1. ^ a b c d 山陰中央新報社 1981, p. 24.
  2. ^ a b c 神社名鑑 1963, p. 659.
  3. ^ 神道大辞典 1941, p. 366.
  4. ^ a b 並河萬里写真財団 1998, p. 64.
  5. ^ 並河萬里写真財団 1998, pp. 64–66.
  6. ^ a b c d e f g 並河萬里写真財団 1998, p. 66.
  7. ^ a b 現地案内板による。
  8. ^ a b c d e f g 神魂神社本殿”. 国指定文化財等データベース/文化庁. 2022年10月31日閲覧。
  9. ^ 並河萬里写真財団 1998, pp. 66–67.
  10. ^ 神社名鑑 1963, p. 658.
  11. ^ 出雲国 意宇六社めぐり ガイドマップによる。
  12. ^ 神魂神社心御柱古材(神魂神社)”. 独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所. 2022年10月31日閲覧。
  13. ^ 足立 1940, p. 30.
  14. ^ a b 並河萬里写真財団 1998, p. 70.
  15. ^ a b c 近畿建築士協議会 1986, p. 17.
  16. ^ 『神社の由来がわかる小事典』三橋健、PHP研究所, 2007
  17. ^ 近畿建築士協議会 1986, p. 20.
  18. ^ 並河萬里写真財団 1998, p. 69.
  19. ^ 藤岡 1978, p. 132.
  20. ^ a b 神魂神社末社貴布祢稲荷両神社本殿”. 国指定文化財等データベース/文化庁. 2022年10月31日閲覧。
  21. ^ 県指定文化財一覧(工芸品)”. 島根県教育庁文化財課. 2022年10月31日閲覧。






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