李白 主な作品

李白

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主な作品

秋浦歌 其十五(秋浦の歌 其の十五)
原文 書き下し文 通釈
白髮三千丈  白髪 (はくはつ)三千丈 私の白髪は秋浦より望む揚子江のように三千丈もあろう
縁愁似箇長 愁に縁りて箇(かく)の似(ごと)く長し 憂愁の末にこんなにも長くなってしまった
不知明鏡裏 知らず 明鏡の裏  明るく澄んだ水鏡の中
何處得秋霜  何れの処にか秋霜を得たる これほどに真っ白な秋の霜、一体どこから降ってきたのだろうか

 

早發白帝城(早に白帝城を発す)
原文 書き下し文 通釈
朝辭白帝彩雲間 朝に辞す白帝 彩雲の間 朝早くに美しい色の雲がたなびいている白帝城を出発し
千里江陵一日還 千里の江陵 一日にして還る 千里離れた江陵まで一日でかえれるのだ[注釈 5]
兩岸猿聲啼不住[注釈 6] 両岸の猿声 啼いてやまざるに 両岸の哀しい猿声が啼きやまないうちに
輕舟已過萬重山 軽舟已に過ぐ 万重の山 軽やかな小舟は幾万に重なる山々の間を一気に通過してしまった

 

靜夜思(静夜思)
原文 書き下し文 通釈
牀前看月光[45] 牀前 月光を看る 寝台の前に射し込む月の光をみる
疑是地上霜  疑らくは是れ地上の霜かと これは、地上に降りた霜ではないかと疑うほどだ
擧頭望山月[45]  頭を挙げて 山月を望み 頭をあげて山に上る月を望み
低頭思故郷  頭を低れて 故郷を思ふ また頭を垂れては故郷に思いをはせる

その他


注釈

  1. ^ 号の由来は、従来、李白の出身地である「青蓮郷」にちなむ。楊慎『丹鉛続録』:「李白生於彰明県之青蓮郷,其詩云『青蓮居士謫仙人』是也。」とされていたがこれは誤り。近年では仏教用語としての「青蓮」(水蓮の一種。仏典に頻出し、仏の目に喩えられる)にちなむものであることが論証されている。松浦友久「李白における蜀中生活―客寓意識の源泉として―」[1]
  2. ^ 通説では「729年の作」だが異説あり[要出典]
  3. ^ 『旧唐書』などに見える「会稽で友人となった道士呉筠の推薦を受け、長安を訪れた」という記述は、近年の研究で否定されている[13]
  4. ^ 石川忠久のように「725年の初めて蜀の地を離れた時の作」とする説もある[要出典]
  5. ^ 白帝城から長江下流の江陵湖北省荊州市荊州古城:江陵古城)まで直線距離で250kmある。罪を得て夜郎に流される李白が、赦免されて江陵に戻る事ができるようになった嬉しさがあらわれている。
  6. ^ 兩岸猿聲啼不盡(啼いて尽きざるに)との異同があるが、教科書などでは“啼不住”が一般的である。

出典

  1. ^ 『李白伝記論―客寓の詩想―』研文出版、1994年
  2. ^ 「李白と杜甫の事典」p27 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  3. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p5-12 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  4. ^ 胡懷琛『李太白的国籍问题』〈逸经 第一期〉1936年3月。 
  5. ^ 胡懷琛『李太白通突厥文及其它』〈逸经 第十一期〉1936年8月。 
  6. ^ 陳寅恪 (1935). 李太白氏族之疑問. 清華大学学報中国語版. 清華大学出版社中国語版. https://web.archive.org/web/20220307123304/https://mwenku.lingfengyun.com/view-12c802c5c7214619bd80b0e45dc6c2f5.html. 
  7. ^ 劉學銚『五胡興華:形塑中國歷史的異族』知書房、2004年8月1日、87頁。ISBN 9867640411https://www.google.co.jp/books/edition/五胡興華/OTLKluJnuMAC?hl=ja&gbpv=1&pg=PA87&printsec=frontcover 
  8. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p37 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  9. ^ 「李白と杜甫の事典」p29-31 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  10. ^ a b c d 「李白と杜甫の事典」p33 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  11. ^ 「李白と杜甫の事典」p35 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  12. ^ a b c d e 「李白と杜甫の事典」p36 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  13. ^ 郁賢皓『李白叢考』
  14. ^ 「李白と杜甫の事典」p37 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  15. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p182-184 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  16. ^ 「李白と杜甫の事典」p39-41 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  17. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p189-192 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  18. ^ 「李白と杜甫の事典」p42-43 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  19. ^ 「李白と杜甫の事典」p43-44 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  20. ^ 「李白と杜甫の事典」p134-135 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  21. ^ 「李白と杜甫の事典」p46-48 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  22. ^ 「李白と杜甫の事典」p48-50 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  23. ^ a b 「李白と杜甫の事典」p53-54 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  24. ^ 「李白と杜甫の事典」p62 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  25. ^ 「李白と杜甫の事典」p70 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  26. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p19-20 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  27. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p235 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  28. ^ 「漢詩をたのしむ」p102 林田愼之助 講談社現代新書 1999年2月20日第1刷発行
  29. ^ 「李白と杜甫の事典」p562-566 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  30. ^ 「李白と杜甫の事典」p6 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  31. ^ 「李白と杜甫の事典」p31 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  32. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p134-138 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  33. ^ 「李白と杜甫の事典」p55 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  34. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p75 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  35. ^ https://www.lungshan.org.tw/tw/02_2_11_gods.php 「水仙尊王」艋舺龍山寺 2023年11月8日閲覧
  36. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p61-62 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  37. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p189-192 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  38. ^ 「李白 漂泊の詩人 その夢と現実」(書物誕生 あたらしい古典入門)p63-64 金文京 岩波書店 2012年10月24日第1刷発行
  39. ^ 「李白と杜甫の事典」p36-37 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  40. ^ 「李白と杜甫の事典」p44 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  41. ^ 「李白と杜甫の事典」p45 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  42. ^ 「李白と杜甫の事典」p12-13 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  43. ^ 中国詩人選集第7巻李白上. 岩波書店. (1957.11-1958.10). ISBN 4-00-100507-7. OCLC 959654725. https://www.worldcat.org/oclc/959654725 
  44. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3171117 「唯一現存、李白の真筆が「張伯駒記念展」で紹介される理由は?北京・故宮博物院」AFPBB 2018年4月14日 2023年11月9日閲覧
  45. ^ a b 宋蜀本『李太白文集』(静嘉堂文庫蔵)や清の王琦『李太白文集輯註』などに従う。なお『唐詩三百首』など中国の通行本の多くは第1句を「明月光」、第3句を「望明月」に作るが、これは明清以降の改変である。ノート:李白参照。
  46. ^ 「李白と杜甫の事典」p6-10 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  47. ^ 「李白と杜甫の事典」p733-734 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  48. ^ a b 「李白と杜甫の事典」p735-736 向嶋成美編著 大修館書店 2019年11月20日初版第1刷
  49. ^ 化粧品「レブロン」の中国ブランド名は超一級だった、破産法申請に震撼 | 莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見 | ダイヤモンド・オンライン






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