十二国記 世界観

十二国記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 23:43 UTC 版)

世界観

十二国世界略地図

不老の神仙が存在し、妖魔の跋扈する世界。十二の国があり、政治組織は古代中国周礼に類似しているが、国政は封建制だが命令権の強い王制のもと統治が行なわれている。しかし世襲制ではなく、神獣の麒麟が天意に従って選んだ王により統治されており、麒麟が王を補佐する。麒麟は慈悲深く、血や死の穢れを嫌い、穢れによって病む。王の資質のある人間が選ばれると言われているが、それぞれの王によって国の繁栄の度合いは異なる。王は諸侯を封じ、政治を行う。王や一部の高位の官は神仙として不老を与えられ(特殊な武器で殺すことは可能)、王は死ぬまで統治をおこなう。王の治世は、数年で終わる場合もあれば、数百年にも及ぶこともある。

政治には天が定めたとされる絶対のルールがあり、王がそれを破り道を誤ると麒麟が病み、そのまま改めなければ麒麟は死ぬ。王を王たらしめた麒麟が死ぬと、王も死ぬ。または、麒麟が死ぬ前に、王が天に願って禅譲する(死を選ぶ)こともできる。反乱によって討たれることもある。王が死ぬと麒麟が新たな王を選ぶ。麒麟が死ぬと世界の中心にある山に麒麟の実がなり、新たな麒麟が生まれ王を選ぶシステムとなっている。王は必ずその国の人間である。王の在位中は妖魔の活動は抑えられ気候も安定するが、王がいなければ国は乱れる。このようなルール・システムは天帝が定めたと言われるが、天帝に会った者はいない(雁国主従(尚隆と六太)と主従に敵対し敗北した斡由のように、天帝の実在に疑問を呈する者もいる)。

生き物は特別な木から生まれるため、女性は出産せず、現実の男女観・ジェンダーとは異なっている。性欲やセックス自体はこの世界にもある。同国人同士でなければ子供を授かることはできず、子育てとは天に徳を示す行為と考えられている。子どもは親から生まれるわけではないので、外見が似ることもない。半分人間半分獣である半獣と呼ばれる人々がおり、国によっては差別を受けている。異なる世界(現実世界)から流されてきた人々は海客・山客と呼ばれ、こちらも国によっては差別される。異世界であるため、独特のオリジナルの言葉が多く用いられている。

世界の中心の島があり、この島は十二国に含まれない。島の中心の山は女神・西王母の領域で、麒麟のなる木があり、碧霞玄君が治め、配下である女仙たちが幼い麒麟に仕える。この山を囲むように黄海という荒れ地がある。島と海を隔て、花弁のような形の環状の大陸があり、ここに八つの国がある。国境は天によって定められている。さらにこの大陸を虚海という海が囲み、四方に四つの島国がある。現実世界は虚海の果て・世界の影にあるとされており、「蝕」と呼ばれる現象によって繋がっている。


注釈

  1. ^ 以下「ホワイトハート版」と略す
  2. ^ この夢は水禺刀が未来の主である陽子に送った警告だったとされる。
  3. ^ アニメ版では壁落人との会話でこのやり取りが出た。
  4. ^ 天網では伯(人が出世だけで就ける位としては上から2番目)以上の位の官職は王の近親者、冢宰、三公諸侯に限る、と定められている。
  5. ^ 「麒麟はその国の戸籍に含まれない」という条文はあるが、他国の麒麟については言及がなく、荒民を受け入れるのと同じ扱いができる。
  6. ^ 三公に任命できるのはその国の戸籍を持つ者だけだが、それが他国の麒麟であった場合について言及は無い。
  7. ^ 第40話のみ「小林常夫、栗原ひばり」の2名でクレジットされた。
  8. ^ 第1話から第4話のクレジットは「クリーチャーデザイン」。

出典

  1. ^ a b c 『ライトノベル完全読本』日経BP社、2004年8月1日発行、126頁。ISBN 4-8222-1704-3 
  2. ^ 石井ぜんじ / 太田祥暉 / 松浦恵介『ライトノベルの新・潮流 黎明期→2021』スタンダーズ、2022年1月1日、304頁。ISBN 978-4-86636-536-7 
  3. ^ a b c d e 石堂藍『ファンタジー・ブックガイド』 国書刊行会、2003年
  4. ^ a b c d 担当編集者が語る「十二国記」の魅力 | 新潮文庫メール アーカイブス 2012年08月10日 新潮社
  5. ^ 「ダ・ヴィンチ」2012年9月号「特集 小野不由美」
  6. ^ a b c d e f Fuyumi Ono, Author of The Twelve Kingdoms Mar 18th 2007 Anime News Network
  7. ^ a b c d 石堂藍「挑戦するファンタジー」『幻想文学58 特集 女性ファンタジスト2000』、幻想文学企画室 編集、アトリエOCTA、2000年
  8. ^ a b 朝宮運河 累計780万部突破! 脅威のファンタジーシリーズ「十二国記」の魅力 2012.8.7 ダ・ヴィンチニュース
  9. ^ 「 国記」の歩き - 小野不由美「十二国記」”. 新潮社公式サイト. 2022年1月19日閲覧。
  10. ^ 『ダヴィンチ 2020年1月号』24頁
  11. ^ 長岡義幸「新潮社ヒット連発、10年ぶりの快進撃」『創』2020年2月号
  12. ^ 十二国記 月の影 影の海(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  13. ^ 十二国記 月の影 影の海(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  14. ^ 十二国記 風の海 迷宮の岸(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  15. ^ 十二国記 風の海 迷宮の岸(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  16. ^ 十二国記 東の海神 西の滄海”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  17. ^ 十二国記 風の万里 黎明の空(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  18. ^ 十二国記 風の万里 黎明の空(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  19. ^ 十二国記 図南の翼”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  20. ^ 十二国記 黄昏の岸 暁の天(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  21. ^ 十二国記 黄昏の岸 暁の天(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  22. ^ 十二国記 華胥の幽夢”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  23. ^ 月の影 影の海(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  24. ^ 月の影 影の海(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  25. ^ 風の海 迷宮の岸”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  26. ^ 東の海神 西の滄海”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  27. ^ 風の万里 黎明の空(上)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  28. ^ 風の万里 黎明の空(下)”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  29. ^ 図南の翼”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  30. ^ 黄昏の岸 暁の天”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  31. ^ 華胥の幽夢”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  32. ^ 十二国記 魔性の子”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  33. ^ 十二国記 月の影 影の海(上)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  34. ^ 十二国記 月の影 影の海(下)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  35. ^ 十二国記 風の海 迷宮の岸”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  36. ^ 十二国記 東の海神 西の滄海”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  37. ^ 十二国記 風の万里 黎明の空(上)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  38. ^ 十二国記 風の万里 黎明の空(下)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  39. ^ 十二国記 丕緒の鳥”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  40. ^ 十二国記 図南の翼”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  41. ^ 十二国記 華胥の幽夢”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  42. ^ 十二国記 黄昏の岸 暁の天”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  43. ^ 十二国記 白銀の墟 玄の月(第一巻)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  44. ^ 十二国記 白銀の墟 玄の月(第二巻)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  45. ^ 十二国記 白銀の墟 玄の月(第三巻)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  46. ^ 十二国記 白銀の墟 玄の月(第四巻)”. 新潮社. 2021年3月31日閲覧。
  47. ^ 「十二国記」は海外でも翻訳出版されています。 十二国記新潮社公式サイト
  48. ^ 「十二国記」画集〈第一集〉久遠の庭”. 新潮社. 2022年12月5日閲覧。
  49. ^ 「十二国記」画集《第二集》青陽の曲”. 新潮社. 2022年12月5日閲覧。
  50. ^ 「十二国記」30周年記念ガイドブック”. 新潮社. 2022年12月5日閲覧。
  51. ^ 十二国記FAQ[リンク切れ]
  52. ^ 新潮社完全版『華胥の幽夢』解説より。
  53. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 十二国記|アニメ声優・キャラクター・登場人物・2002春アニメ最新情報一覧”. アニメイトタイムズ. 2023年4月23日閲覧。
  54. ^ 十二国記公式アニメガイド”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  55. ^ 「十二国記」アニメ脚本集 1”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  56. ^ 「十二国記」アニメ脚本集 2”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  57. ^ 「十二国記」アニメ脚本集 3”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  58. ^ 「十二国記」アニメ脚本集 4”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  59. ^ 「十二国記」アニメ脚本集 5”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  60. ^ 東の海神 西の滄海”. 講談社. 2021年3月31日閲覧。
  61. ^ 十二国記 〜紅蓮の標 黄塵の路〜(PS2)の関連情報/ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com. 2024年1月24日閲覧。
  62. ^ 十二国記 〜赫々たる王道 紅緑の羽化〜(PS2)の関連情報/ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com. 2024年1月24日閲覧。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「十二国記」の関連用語

十二国記のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



十二国記のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの十二国記 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS