化学消防車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/11 04:29 UTC 版)
概要
油脂・化学物質の火災の場合、水をかけると逆に火の勢いが強くなってしまうため、放水では消火できない。そのような火災に対応し、泡消火剤や粉末消火剤を撒くことのできるものが化学消防車である。
通常は消防署に配備されているが、石油備蓄基地や高い可燃性を持つ航空燃料を扱う空港などの大規模火災が発生する可能性が高い公的施設にも配備される。民間であっても、化学工業関連企業、自衛防災組織の設置を義務付けられる石油コンビナートなどの施設にも配備されている[1]。
また、車両火災に備えて主要の幹線道路、高速道路などを抱える消防にも配備される傾向にあり、そのほか、消防団、自衛隊の航空基地、駐屯地飛行場の消防隊などにも配備されている(空港用化学消防車参照)[2][3][4]。
泡消火剤は、原液を水と混合させて放射することにより消火する。そのため、通常は車両自体に水・原液のタンクを装備している。しかし、タンク内の消火剤は数分 - 20分程度で使い切ってしまうため、泡原液搬送車や人員による原液タンク注入などによる補給が不可欠となる。石油コンビナート火災に対応する大型化学車、泡原液搬送車、高所放水車(屈折放水塔車など)の3台をまとめて化学車3点セットという。なお、高所放水車の代わりに、同等の性能を持つはしご車で構成する場合があるほか、自衛消防組織では、大型化学車と高所放水車の機能を1台にまとめた大型化学高所放水車を導入する場合もある。大型化学車と高所放水車の機能が一つになったことにより大型化学高所放水車と泡原液搬送車の2点セット運用が可能となり、全国の消防本部でも導入が進んでいる。泡原液搬送車から直接大型化学高所放水車へ送水し放水する事が可能となり、今後は化学車3点セットから2点セットとなると考えられ人員が限られる地方の自治体消防への導入も期待される[5]。
化学車3点セット
- ^ “自衛防災組織等の防災活動の手引き”. 危険物保安技術協会. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “化学車”. 東大阪市. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “令和4年版 消防白書 資料”. 総務省消防庁. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “航空自衛隊の消防車①:空自航空基地や飛行場の航空機火災などに対応する「破壊機救難消防車」”. Motor-Fan[モーターファン] (2022年5月7日). 2024年1月11日閲覧。
- ^ 省力型消防車システム | 日本機械工業株式会社
- ^ 2011年の福島第一原子力発電所事故後、東京電力へ提供し新たな車両へ更新された
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