内閣 (タイ) 内閣 (タイ)の概要

内閣 (タイ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 01:35 UTC 版)

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概要

内閣首相と、首相によって指名され、国王によって公認を受けた国務大臣รัฐมนตรี)によって構成される。国務大臣はそれぞれの省庁の長となる。内閣の長は首相が務める。内閣はタイ政府タイ王国政府としてまとめて呼称されることがある。

経緯

タイではアユタヤ王朝の頃からグロム(กรม:局)、セーナーボディー(เสนาบดี:局長)となど呼ばれる行政官僚組織を用いて王がタイ国土を統治していた。近代的な行政機関が整備されたのはラーマ5世チャクリー改革による。1874年4月15日、ラーマ5世は49名の上級王子、臣下で構成した枢密院สภาที่ปฤกษาในพระองค์)を設立した。これによりタイで初めて議会を通して王権が行使されることになった。まず内務省国防省、王都省(กระทรวงนครบาล)、宮内省(กระทรวงวัง)、財務省、農務省(กระทรวงเกษตราธิการ)の6省を設置。その後、すぐに外務省法務省、土木省(กระทรวงโยธาธิการ)、道徳省(กระทรวงธรรมการ)を4省を追加した。

1925年7月14日ラーマ7世が公務大臣であった5名の王子による最高顧問会議(อภิรัฐมนตรีสภา)を設置して政務を補助させた。しかし、1932年6月24日立憲革命が起きると、顧問会議の解散を命じた。ラーマ7世は、暫定憲法を承認し、行政機関として人民委員会を認め、枢機院を国王の諮問機関とすることを決定した。1932年12月9日に憲法が発布されると、人民委員会は改称され内閣となり、その長を首相とすることを定めた。これにより最初の内閣プラヤー・マノーパコーンニティターダー内閣が誕生し、すべての省は内閣の統制下に置かれた。

閣僚

『仏暦2550年(西暦2007年)タイ王国憲法』によると、内閣に参加できるのは35名以下であり、閣僚は首相以外国民議会の議員である必要はない。しかし実際は議員である場合が多い。閣僚の任命には首相の指名、国王の承認が必要である。

閣僚となる個人の資質は以下のように大まかに定められている。

  • 出生時よりタイ国民であること。
  • 35歳以上であること。
  • 学士以上もしくは学士に等しい学歴を持っていること。
  • 上院の議員ではないこと(元上院議員は2年間許可されない)。

他にも様々な細目があり、以下の者は参加できない。

薬物中毒者、破産者、僧と僧院関係者、公民権剥奪者、精神虚弱者、被疑者および有罪判決を受けた者、公務員、立法府関係者、上院から公務事務所からの退去を命じられたことがある者。

憲法9条の内閣についての規定では、閣僚は35名まで参加が可能であるが、実際には20省しか省が存在しないので、15名が大臣を担当できない。この場合、副首相もしくは副大臣として指名することができる。憲法によると、内閣は15日以内に議会で所信表明をしなければならない。そのときには大臣も所信表明演説を行い、自らの政策、表明しなければいけない。

大臣は自己の行動、担当する省の行動に対して責任を持ち、国民議会で説明する義務がある。そのため、議会は事件の際には大臣を喚問することができる。また、上院・下院とも国務大臣を罷免を要求する権限を持つ。議会の5分の1の賛成で罷免案を提出でき、多数決により罷免が議決される。もう一つの罷免の方法としては、首相の助言によって国王が国務大臣を罷免する方法がある。

内閣の機能

行政府の最高機関として、内閣は行政、様々な機関、省庁の運営に責任を持っている。さらに政策の策定や統治に責任を持つ最高機関でもある。法的にも内閣は議会に法案を提出することができる。また、内閣閣僚は国民議会に臨席することができる。

内閣は、個人的な不一致、反対は留保し、閣僚すべてが閣議の決定を支持しなくてはいけない集団責任を負っている。そのため結果として、政府の運営に誤りがあった場合、閣僚すべてが責任を負う。

野党影の内閣を作ることも許されている。


  1. ^ 玉田・船津編『タイ政治・行政の変革1991-2006年』研究双書 No.568 IDE-JETRO, 2008


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