一般カッツ・ムーディ代数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/25 03:25 UTC 版)
性質
一般カッツ・ムーディ代数のほとんどの性質は(対称化可能)カッツ・ムーディ代数の通常の性質の安直な拡張である.
- 一般カッツ・ムーディ代数は なる不変対称双線型形式をもつ.
- 虚単純ルートに対する訂正項を持つことを除いてカッツ・ムーディ代数に対するワイル・カッツの指標公式に類似の,最高ウェイト加群に対する指標公式がある.
例
ほとんどの一般カッツ・ムーディ代数は際立った性質を持たないと考えられている.面白いものは以下の3種類である:
- 有限次元半単純リー環
- アフィンカッツ・ムーディ代数
- 分母関数が特異ウェイトの保型形式であるようなローレンツカルタン部分代数を持つ代数
第三の種類の例は有限個しか例がないように思われる.2つの例は,モンスター・リー代数とfake モンスター・リー代数で,前者にはモンスター群が作用し,モンストラス・ムーンシャイン予想において用いられる.他の散在単純群のいくつかに付随した類似の例がある.
一般カッツ・ムーディ代数の多くの例を見つけることが以下の原理を用いることで可能である:一般カッツ・ムーディ代数のように見えるものはなんでも一般カッツ・ムーディ代数である.より正確には,リー環がローレンツ格子によって次数付けされ,不変双線型形式を持ち,少数の他の容易に確かめられる技術的な条件を満たすならば,それは一般カッツ・ムーディ代数である.特に任意の偶格子からリー環を構成するのに頂点代数を用いることができる.格子が正定値ならば有限次元単純リー環を与え,半正定値ならばアファインリー環を与え,ローレンツならば上の条件を満たす代數したがって一般カッツ・ムーディ代数を与える.格子が偶26次元ユニモジュラーローレンツ格子のとき構成は fake モンスターリー環を与える;すべての他のローレンツ格子は面白くない代数を与えるようである.
参考文献
- Kac, Victor G. (1994). Infinite dimensional Lie algebras (3rd ed.). New York: Cambridge University Press. ISBN 0-521-46693-8.
- Wakimoto, Minoru (2001). Infinite dimensional Lie algebras. Providence, Rhode Island: American Mathematical Society. ISBN 0-8218-2654-9.
- Ray, Urmie (2006). Automorphic Forms and Lie Superalgebras. Dordrecht: Springer. ISBN 1-4020-5009-7.