ラナトゥンゲ・カルナナンダ ラナトゥンゲ・カルナナンダの概要

ラナトゥンゲ・カルナナンダ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 10:16 UTC 版)

ラナトゥンゲ・カルナナンダ
選手情報
フルネーム Ranatunge J. K. Karunananda
国籍 セイロン
種目 長距離走
生年月日 (1936-05-21) 1936年5月21日
没年月日 1974年????
身長 167cm
体重 52kg
自己ベスト 5000m:14分56秒8(1963年)
10000m:31分26秒6(1964年)
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経歴

当時28歳だったカルナナンダは、セイロンから唯一の陸上競技代表選手として東京オリンピックに参加した[1]

長距離走が専門だった彼は、5000メートル走と10000メートル走の2種目に出場した。10月16日に実施された5000メートル走予選では、3組で16分22秒2を記録し、13人中12位となって決勝進出を逃した[2]

5000メートル走に先立って10月14日に実施された10000メートル走では、カルナナンダは5000メートル通過時の記録が16分43秒0で、先頭で走っていたアメリカ代表のビリー・ミルズから既に2分半以上遅れていた。他の28選手が全てゴールし終わった後も、脇腹を押さえながら走り、国立霞ヶ丘競技場陸上競技場トラックを3周してゴールした。最初は笑い混じりでその姿を観ていたスタンドの人々の様子は、次第に驚きと感動に変わり、やがて優勝者のミルズ以上の大きな拍手が健闘を讃えて送られた。このレースでの彼の記録は34分21秒2で、28位に入った日本代表の渡辺和己よりも3分以上遅い記録だった[3]

周回遅れになっても棄権せずレースを完走したカルナナンダの逸話は、1908年ロンドンオリンピックの際にとある教会のミサで述べられたペンシルベニア大司教エセルバート・タルボット(アメリカ代表選手団スタッフだった)の言葉「オリンピックで重要なことは、勝利することより、むしろ参加することであろう」を体現したものであり、1970年代の小学4年生用国語教科書(光村図書出版)で『ゼッケン67』という題名で採用されるなどして、人々の記憶に長く残った[4][5][6]

カルナナンダは東京オリンピックからわずか10年後に、ボートの事故によって死去した。なお、オリンピック後の一時期にカルナナンダと文通していた千葉県船橋市に住む男性が2010年10月にスリランカを訪問し、彼の遺族とスリランカのオリンピック委員会に映像などのゆかりの品を渡している[7]

関連項目

外部リンク


  1. ^ Sri Lanka at the 1964 Tokyo Summer Games[リンク切れ]Archived 2020年4月17日, at the Wayback Machine. 2012年4月22日閲覧。(英語)
  2. ^ Athletics at the 1964 Tokyo Summer Games:Men's 5,000 metres Round One[リンク切れ]Archived 2020年4月17日, at the Wayback Machine. 2012年4月22日閲覧。(英語)
  3. ^ Athletics at the 1964 Tokyo Summer Games:Men's 10,000 metres[リンク切れ]Archived 2020年4月17日, at the Wayback Machine. 2012年4月22日閲覧。(英語)
  4. ^ 小学校 昭和46年度版(昭和46年〜昭和48年使用)4年 教科書クロニクル 小学校編 アーカイブ 2013年7月18日 - ウェイバックマシン 光村図書出版ウェブサイト、2012年4月22日閲覧。
  5. ^ 小学校 昭和49年度版(昭和49年〜昭和51年使用)4年 教科書クロニクル 小学校編 アーカイブ 2013年7月16日 - ウェイバックマシン 光村図書出版ウェブサイト、2012年4月22日閲覧。
  6. ^ 戦後児童文学に表わされたスポーツ及びスポーツ観の一考察 昭和51年12月20日受理)日本体育大学紀要第6号(1977)2012年4月22日閲覧。
  7. ^ 東京五輪「ビリの英雄」ゆかりの品、故郷スリランカに[リンク切れ]asahi.com マイタウン千葉、2010年10月21日)2010年11月11日閲覧。


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