ムーアの法則
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コンピュータ関連業界において、ムーアの法則に従って開発が進むのは容量と速度だけではない。RAMの速度とハードディスクのシークタイムは最高年2、3%ずつ改善されている。RAMとハードディスクの容量はそれらの速度と比べて非常に速く増えているので、それらの容量をうまく使うことはますます重要になっている。多くの場合、処理時間とスペースは交換できることがわかっているので、素早いアクセスを行うために何かしらの方法で処理前にインデックスをつけてデータを格納しておく方法などである。コストの点で、より多くのディスクやメモリのスペースが使われる。スペースは時間と比べてより安くなっている。
他方、時々間違えてしまうが、指数関数的なハードウェアの改良は、必ずしもそれと同様な指数関数的なソフトウェアの改良を意味するものではないということである。ソフトウェア開発者の生産性はハードウェアでの進化と共に指数関数的に確実に増えているというわけではなく、たいていの測定では、ゆっくりとまた断続的に増えていく。ソフトウェアは時間と共により大きく複雑になっていく。ヴィルトの法則では「ソフトウェアは、ハードウェアが高速化するより急速に低速化する。」とさえ述べている。
さらに、もっとも有名な間違った考えは、メガヘルツ神話として知られる、プロセッサのクロック速度が処理速度を決定する、というものである。これは実際には、単位時間当たりに処理できる命令数にも依存するので(それぞれの命令の複雑さも同様に依存する)、クロック速度は単に2つの同一の回路同士を比較する時にのみ用いることができる。もちろん、バス幅や周辺回路の速度のような他の要因も考慮に入れなければならない。それゆえに、もっとも有名な「コンピュータの速度」の評価は、原理を理解しなければ元々バイアスがかかっている。これは特にPentiumの時代には真実であった。この時は有名なメーカーが速度の普通の認識として、新製品のクロック速度を宣伝するのに力を入れていた[13]。
たいていのよくある並列化されていないアプリケーションのため、マルチコアCPUのトランジスタ密度は実用的な計算能力に反映して増えているというわけではないことに注意することも重要である。
コンピュータの能力を使用する消費者が負担するコストが落ちているが、ムーアの法則を達成するためのメーカーのコストは逆のトレンドをたどっている。研究開発や製造、テストのコストはチップの世代が新しくなるごとに着実に増えている。半導体メーカーの設備にかかるコストも増え続けると思われるので、メーカーはよりたくさんより大きくて利益の出るチップを売らなければならない(180nmのチップをテープアウトするのにかかるコストは約30万ドルであった。90nmのチップをテープアウトするのにかかるコストは75万ドルを超え、65nmでは100万ドルを超えると思われる)。近年、アナリストたちは先進的なプロセス(0.13μmやそれ以下)で「設計開始」された数が減っているのを目の当たりにしている。2000年以降の景気の低迷の間これらのことが観察されたが、開発の衰退は、長い間世界市場にいた伝統的な半導体メーカーが、経営的にムーアの法則を維持できなくなっていることの証拠であるかもしれない。
しかし、2005年のインテルの報告書では、経営的に安定させながらシリコンチップをダウンサイジングすることは次の十年可能である、としている[14]。シリコン以外の材料を使用することが増えるとのインテルの予想は2006年中ごろには確かめられ、2009年までにはトライ・ゲート・トランジスタを使用するつもりであるとしている。IBMとジョージア工科大学の研究者らは、ヘリウムで極低温まで冷却したシリコン / ゲルマニウムチップを500GHzで動作させ、新しい動作記録速度を作った[15]。チップは4.5K(摂氏マイナス268.65度)で500GHz以上で動作し[16]、シミュレーションの結果では恐らく1THz(1000GHz)で動作することも可能であるとしている。
注釈
- ^ この熱のために4.3GHz以上の速度で高信頼性のCPUを提供するのはほとんど不可能になった。
出典
- ^ ムーアの法則 考案者が語った長期継続の理由と未来 (日経テクノロジー2015年4月8日掲載)
- ^ Cramming more components onto integrated circuits | 102770822 | Computer History Museum 2020年3月11日閲覧
- ^ “Excerpts from A Conversation with Gordon Moore: Moore's Law” (PDF). Intel Corporation. pp. 1 (2005年). 2012年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年3月2日閲覧。
- ^ NY Times article 2005年4月17日
- ^ Manek Dubash (2005年4月13日). “Moore's Law is dead, says Gordon Moore”. Techworld. 2006年6月24日閲覧。
- ^ Ray Kurzweil (2001年3月7日). “The Law of Accelerating Returns”. KurzweilAI.net. 2010年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年6月24日閲覧。
- ^ “Moore's Law at 40 - Happy birthday”. The Economist (2005年3月23日). 2006年6月24日閲覧。
- ^ 半導体開発の「ムーアの法則」は限界かウォール・ストリート・ジャーナル2015年4月18日
- ^ 「ムーアの法則は終わった」、NVIDIAのCEOが言及 EEtimes Japan(2017年6月5日)2017年6月5日閲覧
- ^ “Intelが「チックタック」戦略を廃止して3ステージ制を採用、ユーザーへの影響とは?”. GIGAZINE. 2023年4月5日閲覧。
- ^ “ムーアの法則に黄色信号点滅、Intelの10nmプロセス移行の遅れが確実に”. GIGAZINE. 2023年4月5日閲覧。
- ^ “The end of Moore’s Law? Innovation in computer systems continues at a high pace”. 2023年12月9日閲覧。
- ^ Matthew Broersma (2006年6月24日). “Intel, Aberdeen attack AMD speed ratings”. ZDNet UK. 2006年6月24日閲覧。
- ^ “New life for Moores Law”. CNET News.com (2006年4月19日). 2012年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年6月24日閲覧。
- ^ “Chilly chip shatters speed record”. BBC Online (2006年6月20日). 2006年6月24日閲覧。
- ^ “Georgia Tech/IBM Announce New Chip Speed Record”. Georgia Institute of Technology (2006年6月20日). 2006年6月24日閲覧。
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