ミスト (映画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/25 01:46 UTC 版)
製作
企画
監督のフランク・ダラボンはカービー・マッコーリー編のホラー小説アンソロジー『闇の展覧会』(1980年)に収録されているスティーヴン・キングの中編小説『霧』を初めて読んだ際[2]、これの映画化で監督デビューをしようと考えていた。結局ダラボンは同じくキングの中編『刑務所のリタ・ヘイワース』(1982年)を原作とした『ショーシャンクの空に』でデビューした[3]。
1994年10月、『ショーシャンクの空に』が完成した後、ダラボンは改めて『霧』の映画化に興味を示した[4]。だがその後企画が進まず、ダラボンは1999年にキング原作の『グリーンマイル』を映画化した[5]。
結局ダラボンは『ミスト』のためにパラマウント映画とファーストルック契約を交わし、キングから映画化権を委託された[3]。2004年12月までにダラボンは『ミスト』の脚本執筆作を開始したと述べ[6]、2006年10月までにプロジェクトはパラマウントからディメンション・フィルムズに移り、ダラボンは監督となり、またトーマス・ジェーンへ出演交渉がされた[3]。
脚本執筆
ダラボンは「とてもダイレクトで、マッスラーな映画を作りたかった」ために、『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』のような「ストレートなドラマ」の後に『ミスト』を選んだ。ダラボンは映画化の際に新しい結末を考案した。原作者のキングはダラボンの新しい結末を賞賛し、「この結末は衝撃。恐ろしい。だがホラー映画を見に行く人々は必ずしもポリアンナ・エンディングを望んでいるわけではない」と述べた[7]。
原作小説ではデヴィッドはアマンダと性的関係を持つ展開があるが、ダラボンは不倫要素を映画に盛り込もうとは思わなかった。デヴィッドを演じたトーマス・ジェーンは、自分と息子、そしてアマンダで一種の家族が形成されていると説明した。またアマンダ役のローリー・ホールデンは、ハリケーン・カトリーナの際のルイジアナ・スーパードームの避難経験を引き合いに出した[8]。
キャスティングと撮影
2006年12月、ジェーンはスタジオとの出演交渉を完了させた[9]。2007年1月、アンドレ・ブラウアーとローリー・ホールデンがキャストに加わった[10]。
撮影は翌2月にルイジアナ州のステージワークスとシュリーブポートの映画製作施設で始まった[11]。同月末にマーシャ・ゲイ・ハーデンとトビー・ジョーンズがキャストに加わった[12]。
ダラボンの前作『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』に出演したウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマン、ブライアン・リビーが端役として出演した。またサイドラーは1986年のオーディオブック版でデヴィッド・ドレイトンを演じた。
オープニングは、主人公のデヴィッド・ドレイトンがスティーヴン・キングの長編小説シリーズ『ダーク・タワー』のポスターを描く場面であった。
特殊効果
ダラボンは映画に登場する生物のデザインに協力してもらう為、ジョルジュ・シェル[13] とバーニー・ライトソンを雇った[14]。
グレゴリー・ニコテロは生物のデザインとメイクアップ、エヴェレット・ブレルは視覚効果スーパーバイザーを務めた。ニコテロは1980年代にダラボンが映画化を構想していた際にデザイン案をスケッチしていた。映画化が決定した際、ニコテロ、ブレル、ダラボンはカフェSFのミーティングで生物のデザインについて話した[8]。視覚効果スタジオは、ダラボンがギレルモ・デル・トロに『パンズ・ラビリンス』の視覚効果を作成したスタジオを聞いて勧められたために選ばれた。登場する生物たちは小説にも書かれているものがあるが、ダラボンは新しいものも作り上げようとした。
映画史とジャンル史に熟達していたニコテロは、類似したデザインを避けるという過去の生物デザインを見返した[15]。デザインが完成したとき、ニコテロとブレルはキャストたちに人形とそれらの目と口の機能を見せて教えた。人形は撮影中のモーションキャプチャ・ドットとして使われた[8]。
- ^ a b c d “The Mist (2007)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年6月19日閲覧。
- ^ Stax (2007年7月28日). “SDCC 07: Chatting in The Mist”. IGN 2007年11月19日閲覧。
- ^ a b c Michael Fleming (2006年10月18日). “'Mist' envelops Dimension”. Variety 2007年5月17日閲覧。
- ^ Patrick Z. McGavin (1994年10月4日). “LONG LIVE THE KING”. Chicago Tribune
- ^ “The Green Mile (1999)”. Internet Movie Database. 2007年5月17日閲覧。
- ^ “Frank Darabont on Adapting The Mist”. ComingSoon.net. (2004年5月15日) 2007年5月17日閲覧。
- ^ Breznican, Anthony (2007年6月20日). “Stephen King adapts to Hollywood”. USA Today 2007年11月19日閲覧。
- ^ a b c Rebecca Murray (2007年8月15日). “Behind the Scenes of The Mist Based on a Stephen King Story”. About.com 2007年11月19日閲覧。
- ^ “The Punisher Enters The Mist”. IGN. (2006年12月6日) 2007年5月17日閲覧。
- ^ Borys Kit (2007年1月26日). “Braugher, Holden float to 'Mist'”. The Hollywood Reporter. オリジナルの2007年2月17日時点におけるアーカイブ。 2007年5月17日閲覧。
- ^ Alexandyr Kent (2007年1月19日). “'The Mist' creeping into Shreveport”. The Times
- ^ Michael Fleming (2007年2月21日). “Actors will emerge from King's 'Mist'”. Variety 2007年5月17日閲覧。
- ^ “Jordu Schell: Avatar Lead Characters Designer”. Avatar Movie Zone. オリジナルの2009年9月2日時点におけるアーカイブ。 2010年4月20日閲覧。
- ^ Edward Douglas (2007年7月27日). “Comic-Con '07: Two Clips From The Mist!”. ShockTillYouDrop.com 2007年7月30日閲覧。
- ^ Edward Douglas (2007年11月16日). “An Exclusive Interview with Mr. Frank Darabont!”. ShockTillYouDrop.com 2007年11月20日閲覧。
- ^ Carl DiOrio (2007年10月16日). “ShowEast to close high on Darabont”. The Hollywood Reporter. オリジナルの2007年10月18日時点におけるアーカイブ。 2007年11月20日閲覧。
- ^ “The Mist”. Rotten Tomatoes. 2010年1月26日閲覧。
- ^ “Mist, The (2007): Reviews”. Metacritic. 2010年1月26日閲覧。
- ^ “英誌が選ぶ「原作を超えた映画ベスト50」”. 映画.com (2013年12月2日). 2023年1月16日閲覧。
- ^ “米サイト選出「心がつぶれそうになる映画20本」”. 映画.com (2016年7月17日). 2023年1月16日閲覧。
- ^ “テレ東“トラウマ映画”『ミスト』を昼下がりに放送「なんでこんな鬱作品を…」”. まいじつ (2021年2月18日). 2023年1月16日閲覧。
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