テネシー級戦艦 機関

テネシー級戦艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 01:32 UTC 版)

機関

写真は1921年のカリフォルニアの写真

この時代のアメリカはタービン機関の開発に立ち遅れており、低速時の燃料消費に問題があった。これを改善すべくゼネラル・エレクトリック(GE)社は独自にターボ発電機推進を開発していた。この形式の利点はタービン機関を簡素化が可能で、直結タービンの欠点である低速時の燃費の悪化が少ない利点があった。また防御上の利点ではボイラー室と推進機関の構成に自由度が高かった。ただし、万能と言う訳ではなく、動力の伝達ロスがタービン機関の約5倍、また発電機電動モーターの小型化が難しく、製造コストも高いという問題点もあった。このため、数を必要とする駆逐艦や艦形の小さい巡洋艦には採用されず、戦艦に主に採用された。軍艦の電気設備の増加や艦内空調の強化、真水製造器や食料保存用の冷蔵庫など、電気が欠かせない時代にあって、本級が採用したターボ発電推進は魅力的であった。しかし、機関区が発電専門に特化していたため、本級とテネシー級以前の戦艦が行ったような機関換装が行いづらく、高速化は技術的に難しかった。

機関構成はバブコック・アンド・ウィルコックス社製重油専焼水管缶だが容量の大きなものとなったため、搭載数は12機から8へと2/3に減少している。これに単胴タービン2基で発電した電力で電気モーター4基4軸推進で、公試において最大出力28,900 shpで最高速度21.0ノット、燃料9割搭載時に15ノットで12,400海里を発揮した。燃料消費量から重油4,570トンで速力15ノットで16,600海里を航行できるとされた。

発電タービンの形式は比較研究のために姉妹艦で別の形式が採用されており、テネシーはウェスティングハウス社製パーソンズ式単胴体タービン。カリフォルニアはGE社製カーチス式単胴体タービンで異なっていた。

機関配置は船体中心部に位置する発電室にタービン発電機が前後に1基ずつ計2基が並べられた。発電室を左右から挟み込むようにボイラー室が舷側に配置され、1室あたりボイラー1基ずつが片舷4室に4基ずつ計8基が搭載された。この工夫により舷側防御が破られてボイラー室に被害を受けても他のボイラー室に被害を及ぼさないようにされ、さらに発電機をボイラー室が防御しているために推進器の生存性が高められた。発電された電力は制御盤を介して艦後部の機械室が縦隔壁2枚で3室に隔てられた推進器室に外側軸は1室に1基ずつ、中央軸は1室に並列で2基ずつ計4基が並べられた。


  1. ^ 学研, p.124





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