ソフトウェアエージェント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/07 13:37 UTC 版)
設計上の問題
エージェントベースのシステムの開発する際の問題として、以下のようなものが挙げられる。
- タスクのスケジューリングと同期をどのように実現するか
- エージェントがどうやってタスクの優先順位付けをするか
- エージェント間の協調動作やリソース確保をどうするか
- エージェントをどのように別の環境に生成するか、内部状態をどう保持するか
- 周囲の環境をどのようにして感知し、環境の変化を動作の変化に結びつけるか
- 通信をどう行うか
- エージェント群の階層構造はどうすべきか(例えば、タスク実行エージェント、スケジューリングエージェント、リソース確保エージェント……)
ソフトウェアエージェントが効率的に協調動作するには、データの意味論的要素を共有しなければならない。これはコンピュータシステムがメタデータを提示することで可能である。
「エージェント処理; agent processing」には相互に関連する以下の2つの定義がある。
- 内部状態処理と知識表現のためのオントロジー
- 協調動作のプロトコル - タスク間の通信を行うための標準
エージェントシステムは実世界を並行性や並列性でモデル化したものでもある。
- Agent Machinery - 各種エンジン。知能程度は様々である。
- Agent Content - Machinery が推論や学習に利用するデータ。
- Agent Access - Machinery が Content を把握し推論の結果として行動することを可能にする方法
- Agent Security - 分散コンピューティングに関連した懸念の中でも特にエージェントに関して指摘されている問題
エージェントはアクセス手段を用いてローカルまたはリモートのデータベースを調べ、Content となるものを探す。アクセス手段としては、ネットニュースをエージェントが受け取れるようにするとか、掲示板を用意するとか、ウェブを歩き回る機能を使用したりする。あらゆる情報源を検索できるわけではないので、このようにして検索される Content は部分的にフィルタリングされているだろう。エージェントはさらに詳細な検索を行ったり、機械的言語処理を行ってキーワードやサインを Content から探し出す。この要約された Content (またはイベント)がエージェントの推論機構(Machinery)に渡され、新たな Content に対して何をすべきかを判断する。この過程でイベント Content はユーザーが提供したルールベースか知識内容と結合する。その過程で新たな Content から良い一致を検出したら、エージェントは Machinery の別の機構を使ってさらに詳細な検索を行う。最終的に、エージェントは新たな Content に基づいて採るべき行動を決定する。例えば、ユーザーに対して重要なイベントが発生したことを通知する。この行動はセキュリティ機能によって検証された後、ユーザーの権限を与えられる。
- ^ 語源はラテン語の agere(~の代行をする協定)から。
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