ザ・ビートルズ: Get Back ザ・ビートルズ: Get Backの概要

ザ・ビートルズ: Get Back

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 03:23 UTC 版)

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ザ・ビートルズ: Get Back
The Beatles: Get Back
監督 ピーター・ジャクソン
製作
製作総指揮
出演者
音楽
撮影 アンソニー・B・リッチモンド(1969年)
編集 ジャベス・オルセン
制作会社
配給 ディズニー・プラットフォーム・ディストリビューション
公開
  • 2021年11月25日 (Part 1)
  • 2021年11月26日 (Part 2)
  • 2021年11月27日 (Part 3)
上映時間
  • 157分 (Part 1)
  • 173分 (Part 2)
  • 138分 (Part 3)
  • 468分(全編)[1]
製作国
言語 英語
興行収入 1億2000万円(ルーフトップ・コンサート版)[2]
テンプレートを表示

2021年11月25日から3日連続でDisney+で配信公開された[3][4]。2022年7月12日、3枚組のブルーレイ版、DVD版が発売された[5](日本は7月13日発売)。

制作に至る経緯

2016年、映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』の製作を終えたアップル・コアは、VR(仮想現実)AR(拡張現実)を取り入れたビートルズの新たな展示イベントの可能性を検討していた。そのためCEOジェフ・ジョーンズと制作ディレクターのジョナサン・クライドは、ドキュメンタリー映画の制作に必要な映像を入手するためにロンドンに滞在していたジャクソンから知恵を借りようと面談した。その席上、熱心なビートルズファンであったジャクソンから映画『レット・イット・ビー』に使用されなかった映像の所在を尋ねられ、『レット・イット・ビー』公開50周年に向けて、新たなドキュメンタリー映画制作の企画[注釈 1]が進行中であることを明かした。それを聞いたジャクソンは、自ら監督をしたいと名乗りを上げた。その場ではいったん断ったものの、結局フィルムの閲覧を許した[6]。ジャクソンは約1週間、アップルのオフィスに通って全ての映像を見ると、これまで『レット・イット・ビー』に抱いていたネガティブなイメージとは全く違うものがそこにあることを知り、全く新しいドキュメンタリーを制作することを目指すことにした[7]。制作を進めるためにはビートルズのメンバー自身が抱いているネガティブなイメージを払拭することが必要だった。2017年12月、ニュージーランドで行われたミーティングで ポール・マッカートニーに未公開映像を見せながら説明し、その後ロサンゼルスでリンゴ・スターにも説明することで新たな映画の制作を納得させることができた[8]

修復作業

16mmフィルムに残された50年以上経過した映像は当然のごとく退色していた。しかしジャクソンは自身が2018年に監督した第一次世界大戦のドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』制作時に、約100年前の映像を修復するために開発したソフトウェアなどを活用し、まるで昨日撮影したかのような鮮やかな映像に復元した[9][10]

一方、モノラル録音された音声は会話と楽器の音が重なり合い、聞き取りづらい部分が多かった。そこで、AIを用いた機械学習プログラム「MAL (Machine Audio Learning)」[注釈 2]を新たに開発した。これはギターの音、ドラムの音、メンバーそれぞれの声などをAIに学習させ、特定の人の声や特定の楽器の音だけを取り出すシステムである[8]。これにより会話と楽器の音を分離することに成功した[6][注釈 3]


注釈

  1. ^ この時点では未公開映像を用いたNG集のようなものが考えられていた[6]
  2. ^ ビートルズのパーソナル・アシスタントでこの映画にもたびたび登場するマル・エヴァンズに因み、映画『2001年宇宙の旅』に登場するのAI「HAL」を模して名付けられている[11][8]
  3. ^ この技術はその後、アルバム『リボルバー・スペシャル・エディション』やシングル「ナウ・アンド・ゼン」の制作にも活用された。
  4. ^ その後、2024年5月8日に『Get Back』と同じ技術でリマスターされたオーディオを採用して、Disney+で配信されることが正式に発表された[15][16]
  5. ^ 日本では配信初日の25日にTOHOシネマズ日比谷でプレミア上映された。
  6. ^ 日本では2月9日から13日までの5日間限定で、全国39のIMAXが導入されているシアターで上映された[25]。また2月25日から3月3日の7日間限定でアンコール上映され[26]、さらに10日まで延長された[27]が、さらに全国3館で17日まで再延長された[28]

出典

  1. ^ King, Jack (2021年11月19日). “'The Beatles: Get Back' Runtime Revealed for Peter Jackson Documentary”. https://collider.com/the-beatles-get-back-runtime-peter-jackson-documentary/ 2021年11月21日閲覧。 
  2. ^ 『キネマ旬報』2023年3月下旬特別号 p.38
  3. ^ a b 'The Beatles: Get Back,' a Disney+ Original Documentary Series Directed by Peter Jackson, to Debut Exclusively on Disney+”. TheBeatles.com (2021年6月17日). 2021年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月17日閲覧。
  4. ^ a b Hagan, Joe (2021年6月17日). “The Beatles: Get Back – An Exclusive Deep Dive Into Peter Jackson's Revelatory New Movie”. Vanity Fair. 2021年6月17日閲覧。
  5. ^ 'The Beatles: Get Back' Doc Set for Release on Blu-Ray and DVD This Summer — This Time It's for Real”. Variety (2022年5月17日). 2022年8月4日閲覧。
  6. ^ a b c PETER JACKSON TALKS THE BEATLES: GET BACK”. D23 (2021年11月23日). 2022年3月21日閲覧。
  7. ^ MUSIC LIFE 2022, p. 22,23.
  8. ^ a b c MUSIC LIFE 2022, p. 23.
  9. ^ MUSIC LIFE 2022, p. 25.
  10. ^ Trumbore, Dave (2019年1月30日). “Peter Jackson Follows Up on 'They Shall Not Grow Old' with 'The Beatles' Documentary”. Collider. 2022年3月31日閲覧。
  11. ^ Stormo, Roger (2022年9月2日). “MAL software saved "Revolver" mix”. The Daily Beatle. 2023年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月30日閲覧。
  12. ^ Smith, Sophie (2020年4月17日). “The Beatles' 'Get Back' Documentary: Everything You Need to Know”. uDiscover Music. 2020年5月15日閲覧。
  13. ^ Aridi, Sara (2019年1月30日). “Peter Jackson to Direct Beatles Film”. 2020年3月14日閲覧。
  14. ^ MUSIC LIFE 2022, p. 18.
  15. ^ ビートルズのドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』レストア版 5月8日にDisney+で配信開始”. amass (2024年4月17日). 2024年4月18日閲覧。
  16. ^ ビートルズのドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』の初レストア版が Disney+ で配信決定”. HYPEBEAST (2024年4月17日). 2024年4月18日閲覧。
  17. ^ Guzmán, Rafer (2020年3月11日). “Disney to release Peter Jackson's Beatles documentary”. Newsday. 2020年5月14日閲覧。
  18. ^ White, Peter (2020年3月11日). “Disney Sets Release Date For Peter Jackson's Beatles Documentary” (英語). Deadline Hollywood. 2020年3月11日閲覧。
  19. ^ D'Alessandro, Anthony (2020年6月12日). “'The One And Only Ivan' Heads To Disney+; 'Beatles: Get Back' Moves To 2021 & More: Disney Release Date Changes” (英語). Deadline Hollywood. 2021年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月12日閲覧。
  20. ^ MUSIC LIFE 2022, p. 19.
  21. ^ MUSIC LIFE 2022, p. 20.
  22. ^ a b MUSIC LIFE 2022, p. 21.
  23. ^ “『ザ・ビートルズ:Get Back』、エミー賞5部門を受賞”. (2022年9月5日). https://www.barks.jp/news/?id=1000224172 2022年9月10日閲覧。 
  24. ^ “ドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』エミー賞で5部門受賞”. (2022年9月5日). https://amass.jp/160575/ 2022年9月10日閲覧。 
  25. ^ 『ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート』2/9〜5日間限定、IMAX上映が決定!”. MUSIC LIFE CLUB (2022年1月31日). 2022年3月21日閲覧。
  26. ^ 満席スクリーン続出!! ビートルズ・ファンの熱い要望に応え、2月25日(金)よりIMAX『ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート』アンコール追加上映が決定!!”. MUSIC LIFE CLUB (2022年2月18日). 2022年3月21日閲覧。
  27. ^ 再追加上映が決定! 『ザ・ビートルズ Get Back : ルーフトップ・コンサート』延長上映、明日3/4(金)より全国35のIMAXシアターにて!”. MUSIC LIFE CLUB (2022年3月3日). 2022年3月21日閲覧。
  28. ^ 一部劇場で再延長上映決定! 『ザ・ビートルズ Get Back : ルーフトップ・コンサート』、3/17まで延長予定”. MUSIC LIFE CLUB (2022年3月11日). 2022年3月21日閲覧。


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