サブチリシン 概要

サブチリシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/22 05:48 UTC 版)

概要

サブチリシンはその成熟体のN末端側に約30アミノ酸残基のシグナルペプチドと約80アミノ酸残基のプロペプチド(分子内シャペロン)を持つ酵素前駆体として合成される。

枯草菌から細胞外培地へ分泌された後、シグナルペプチドがシグナルペプチダーゼに分解され、プロペプチドによってサブチリシンの立体構造が形成される。

その後、自身のプロテアーゼ活性によってプロペプチドとサブチリシン成熟体領域の間のペプチド結合がプロセッシングされる。そして最終的に、自己触媒的にプロペプチドが分解される事でサブチリシンが産生される。

結晶構造

PDB entry: 1SPB[2]

プロペプチドとサブチリシンBPN’の2.0 Å分解能の結晶構造。

分子進化の中の収斂進化

セリンプロテアーゼはスブチリシン様セリンプロテアーゼ (subtilisin-like serine protease) とキモトリプシン様セリンプロテアーゼ (chymotrypsin-like serine protease) 大きく2つのファミリーに分類される。前者にはsubtilisin BPN'、thermitase、proteinase K、lantibiotic peptidase、kexin、cucumisinなどがあり、後者にはtrypsin、chymotrypsin、thrombin、Xa因子、elastaseなどがある。これらの原核生物由来のサブチリシンと真核生物由来のキモトリプシンはアミノ酸の一次配列レベルでは配列類似性が低く、またそれらのトポロジーも異なるにもかかわらず、Ser、His、Aspといった同様の三つ組み触媒残基を有しており、その立体的な配置や反応機構が同じであると考えられている。これは、異なる祖先タンパク質が独立に進化してきた結果、非常に類似した活性部位を持つ構造を獲得し、同様の機能を有するタンパク質に収斂進化した為であると考えられている。

脚注

出典


  1. ^ EC 3.4.21.62”. the School of Biological & Chemical Sciences at Queen Mary, University of London. 2016年12月6日閲覧。
  2. ^ RCSB PDB - 1SPB SUBTILISIN BPN' PROSEGMENT (77 RESIDUES) COMPLEXED WITH A MUTANT SUBTILISIN BPN' (266 RESIDUES). CRYSTAL PH 4.”. RCSB PDB. 2016年12月6日閲覧。


「サブチリシン」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サブチリシン」の関連用語

サブチリシンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サブチリシンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサブチリシン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS