エクセーヌ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/23 15:18 UTC 版)
概要
エクセーヌの開発は1970年に東レの最先端技術を集結して行われており、断面積比で髪の毛の400分の1という細さの原糸を用いて作られた。
当初、日本ではエクセーヌ、アメリカではウルトラスエードというブランド名で展開し、特にファッション業界にて注目を集めた。1972年、イタリアのアニッチとの合弁でイガント(現在のアルカンターラ社)を設立し現地生産を開始。ヨーロッパではアルカンターラブランドとして展開するが、後の自動車業界への進出においてこのネーミングでのブランドイメージが成功をおさめ、アルカンターラという名前が広く市場に浸透する。これはアルカンターラ=イタリアというマッチングイメージによる効果が大きく、日本の東レが開発したものだとは一般的には知られていないが、これも東レがイメージ戦略として意図した結果であるという。ちなみに「アルカンターラ」という名称は、アラビア語のAl Kantarをイタリア語風にアレンジした造語であり、日本とイタリア両国の友好の「架け橋」であると同時に、東洋と西洋の文化の「架け橋」でありたいという願いを込めた名前であるという。
耐久性や耐光性・難燃性が極めて優れており、通常の本革スウェードや合成皮革と比較しても手入れに手がかからないように留意されている。このような優位点から、高級車の内装に比較的本革を多用するヨーロッパでは1980年代になってから、維持に手間を必要とする本革にとって代わる高級素材として徐々に普及していった。自動車内装用として最初に本格的に取り入れたのは1984年、イタリアのランチアがテーマにて採用し、後に同社の全車種で使用した。日本ではブランドイメージの高いランチアの高級内装材として紹介され、以降トヨタや日産などの日本車の一部を始め、メルセデス・ベンツやBMW、アストンマーティンなど、多くメーカーで内装生地として使われている。近年ではカスタムにおいても、シートカバーの素材としてだけでなく天井を始めとした内装張替え素材としても使われており、人気が高い。
2003年には自動車内装用が世界共通のアルカンターラ・ブランドに統一された。しかし2013年に戦略を変更し、アルカンターラをイタリア製に、ウルトラスエードを日本製に適用する方針が発表された[2]。
アルカンターラ社は、この製造工程で二酸化炭素(CO2)の排出量を49%削減し、2009年にイタリアの企業として初めて「カーボンニュートラル」の認証を獲得した。他の合成皮革に比べて製造コストも高い素材であるが、高級なブランドイメージが功を奏し収益性は高いという。なお、「自動車用内装素材として開発された」という情報についてはその事実はなく、誤りである。
ウルトラスエードとして採用した車
レクサス
トヨタ
スバル
- スバル・エクシーガ#エクシーガ クロスオーバー7[4]
- インプレッサSPORT HYBRID[5]
- レヴォーグ
- WRX STI
- WRX S4
ホンダ
- ^ http://www.ecsaine.com/
- ^ 人工皮革事業のグローバル展開に関する新しいブランド戦略の策定について
- ^ トヨタの国内生産車としては初(ウルトラスエードブランドとして)
- ^ スバルの標準仕様車としては初(ウルトラスエードブランドとして)
- ^ 国産ハイブリッド車では初(ウルトラスエードブランドとして)
- 1 エクセーヌとは
- 2 エクセーヌの概要
- 3 エクセーヌが採用されたもの
- 4 関連項目
- エクセーヌのページへのリンク