アブロ ランカスター 開発

アブロ ランカスター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 14:15 UTC 版)

開発

ランカスターの設計元はロールス・ロイスヴァルチャー エンジンを搭載した新世代の双発中型爆撃機のP.13/36であり、P.13/36はアブロ マンチェスターとして採用された。マンチェスターは低性能というわけではなかったものの、空中安定性の不足(主翼面積拡大および垂直安定板追加で解消した)や液冷V型「ケストレルエンジン」を双子型(X型)に配置したヴァルチャーエンジンのシリンダー焼損やベアリング破損および冷却不足による過熱などの不良に悩まされ、200機が生産されたが1942年には運用を停止してしまった[要出典]

運用停止の背景には、バルチャーエンジンの信頼性不足はもとより、パイロットから作戦行動執行における不満(敵に撃墜される以前に、発動機故障で墜落したくないという反感)があった[要出典]

アブロ社の設計主任であるロイ・チャドウィックは出力が高くてより信頼性のあるロールス・ロイス製マーリンエンジン4基を大型の翼に配置するマンチェスターの改良を開始していた。この機は、アブロ 683 マンチェスター IIIと名づけられたが、後にランカスターと命名され、1941年1月9日に最初の試験飛行を行い、前作マンチェスターから大きく発展したことが判明した。ランカスターはマンチェスターを原型に作り直され特に胴体中央部を延長したことにより、これまでにない広い爆弾倉を持ち、特徴的なグリーンハウス・コクピット(ガラス張りの温室に似た風防)、突出したタレット(機関銃を設置した旋回砲塔)、左右に突き出した尾翼など、マンチェスターの拡大改良型とはいえ、性能面ではさらなる拡充をみた機体となった。

戦時中、多数のランカスターはメトロポリタン・ヴィッカーズ社、アームストロング・ホイットワース社でも生産され、第二次世界大戦の後期にはバーミンガムにあったオースチン自動車ロングブリッジ工場でも生産された。

ロールス・ロイス製マーリンエンジンの量産不足と、液冷エンジンの銃撃による破損を考慮し、B.I開発と時期を同じくして、ブリストル製ハーキュリーズ6、ハーキュリーズ16のエンジンを搭載したランカスター Mk IIも生産開始に至ったが、マーリンエンジンの増産体勢完備により、わずか300機しか生産されず、ランカスター Mk IIIからマーリンエンジンを搭載したが、エンジン以外の部分はほとんど手は加えられていなかった。アブロ社のロウ、ニュートンヒース工場では3,030機が生産された。カナダオンタリオ州マルトンにあるヴィクトリー・エアクラフトではランカスター Mk Xを始めとする派生型が製造され、Mk.Xは430機が生産された。それらはアメリカ合衆国パッカード社で製造されたマーリンエンジンを搭載し、機体中央にある機銃砲塔を新設したことなどを除いて初期型と大差なかった。全てのランカスターは戦争期間を通じて生産が続けられた。1943年の時点で1機あたり£45,000-50,000ほどかかった[1]


注釈

  1. ^ トールボーイとグランドスラムの正確な重量は資料によって異なる。
  2. ^ 相違点は機首部の爆撃手用風防の形状で、B.IIIはB.IやB.IIよりも張り出しを大きくし、より半球に近い形状となった。ただし、新しい形状の爆撃手用風防については、B.IIIの生産が本格化した後に生産されたB.Iにも採用されている。

出典

  1. ^ Webb, Dominic (2006年2月13日). “Inflation: The Value of the Pound 1750-2005” (PDF). House of Commons Library. pp. 16-17. 2006年7月14日閲覧。
  2. ^ 出典未確認。広田厚司「連合軍の傑作兵器駄作兵器―究極の武器徹底研究」光人社 ISBN 4769823223
  3. ^ 文林堂 「世界の傑作機(旧版) No.88 特集 アブロ ランカスター」 雑誌コード 5713-8、15頁
  4. ^ http://wp.scn.ru/en/ww2/b/555/1/0/1_a1






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