くま川鉄道KT-500形気動車 概要

くま川鉄道KT-500形気動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/11 08:39 UTC 版)

概要

くま川鉄道が開業した1989年から運行しているKT-200形が老朽化しており、置き換えのため本形式の車両を導入することになった。2014年1月に新潟トランシスによりKT-501 - KT-503の3両が製造され[2]、KT-201・KT-202を置き換えた。さらに、同年12月にはKT-504・KT-505の2両を増備した[3]。通常運行のほか、観光列車「田園シンフォニー」(後述)として2020年3月まで運行されていた。

前面左右の窓の上部にそれぞれ前照灯を2個ずつ配し、貫通扉の上部にLED式の行先表示器を設け、前面窓下に尾灯を配置している。列車情報制御装置TICSを装備し、運転台にはくま川鉄道で初のワンハンドルマスコンを採用している。また、地元産の木材(ヒノキ)を多用した車内設備が特徴となっている。

座席は当初、ソファやテーブル付きのカウンター席、ボックス席もある観光列車向けの配置をしたセミクロスシートであったが、沿線の熊本県立多良木高等学校の閉校などにより、人吉市へ通学する学生が増加し、混雑悪化により乗り切れない事態が頻発したため、2019年8月下旬から朝夕の高校生の通学輸送環境改善として、ロングシート配置に変更されテーブルも撤去された[4]。一部の車両にある子供向け展望席や特産工芸品を展示する棚は存置されている。各車両便所付きで、車体は18m級である[5]

先行のKT-203「KUMA1」、KT-103「KUMA2」と同様、インダストリアルデザイナー水戸岡鋭治がデザインを担当。「人吉球磨盆地特有の四季をイメージ」して[6]、車両ごとに季節のテーマを設定し、車体色や内装を変えている。

  • KT-501 : 「」(茶)
  • KT-502 : 「」(赤)
  • KT-503 : 「」(ベージュ)
  • KT-504 : 「」(青)
  • KT-505 : 「白秋」(白)

くま川鉄道湯前線の沿線が田園地帯であることから、各車両共通のデザインとしてベートーヴェン交響曲第6番「田園」をモチーフにしており、車体にはト音記号をアレンジしたマークと「田園」の一節を表す音符が描かれている。


  1. ^ 鉄道ピクトリアル2014年10月臨時増刊号 No.896 鉄道車両年鑑2014年版 鉄道図書刊行会
  2. ^ “くま鉄新車両「田園シンフォニー」お披露目”. 読売新聞. (2014年1月23日). オリジナルの2014年3月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140323164211/http://kyushu.yomiuri.co.jp/entame/railway/news/20140123-OYS8T00300.htm 2020年7月5日閲覧。 
  3. ^ “人吉-湯前「田園シンフォニー」発車 くま川鉄道の新型車両[熊本県]”. 西日本新聞. (2014年3月8日). オリジナルの2014年3月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140309012807/http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/74410 2020年7月5日閲覧。 
  4. ^ 通学客の不満解消、「観光列車」驚きの大変身 ロングシート化で自転車搭載を可能に”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2019年12月7日). 2019年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月5日閲覧。
  5. ^ 鉄道ファン2014年4月号
  6. ^ 楽しい旅と企画列車”. くま川鉄道. 2015年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月5日閲覧。
  7. ^ “くま川鉄道の新車両 「田園シンフォニー」運行開始”. 熊本日日新聞. (2014年3月8日). オリジナルの2014年3月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140313031338/http://kumanichi.com/news/local/main/20140308007.xhtml 2020年7月5日閲覧。 
  8. ^ “田園シンフォニー、5色の走り くま川鉄道”. 熊本日日新聞. (2015年1月15日). オリジナルの2015年1月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150119094441/http://kumanichi.com/news/local/main/20150115006.xhtml 2020年7月5日閲覧。 
  9. ^ 新型車両5両連結臨時運行について”. くま川鉄道 (2015年1月10日). 2015年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月5日閲覧。
  10. ^ 予約制の観光列車はぴねすトレイン運行終了のお知らせ”. くま川鉄道. 2020年9月11日閲覧。
  11. ^ 熊本 くま川鉄道 鉄橋流失 全車両浸水 復旧にはかなりの期間か”. NHK NEWS WEB (2020年7月5日). 2020年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月19日閲覧。
  12. ^ kumatetu_railのツイート(1293816023045439488)
  13. ^ 地元の足として… 存続決定くま川鉄道 全線不通から復旧への道のり”. 乗りものニュース (2020年12月24日). 2020年12月24日閲覧。
  14. ^ “くま川鉄道、来月28日部分再開”. 西日本新聞. (2021年10月30日) 
  15. ^ “くま鉄深夜のお引っ越し 28日部分再開”. 西日本新聞. (2021年11月19日) 
  16. ^ “豪雨復興 希望の再出発 くま川鉄道部分運行再開”. 西日本新聞. (2021年11月29日) 





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