JR貨物DB500形ディーゼル機関車とは? わかりやすく解説

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JR貨物DB500形ディーゼル機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/09 13:28 UTC 版)

JR貨物DB500形ディーゼル機関車
 
DB500-1(2エンド側から見た姿)
DB500-51(西大分駅)
基本情報
運用者 日本貨物鉄道
製造所 北陸重機工業
製造年 2016年 -[1]
製造数 4両
運用開始 0番台:2017年3月 -
50番台:2021年10月 -
投入先 0番台:下関駅
50番台:西大分駅延岡駅
主要諸元
軸配置 A-A
軌間 1,067 mm
全長 7,650 mm
全幅 2,824 mm
全高 0番台:3,670 mm
50番台:4,050 mm
運転整備重量 26.9 t
台車 二軸車
固定軸距 3,500 mm
車輪径 860 mm
軸重 13.45 t
燃料搭載量 500 L
動力伝達方式 液体式
機関 水冷4サイクル直列6気筒ディーゼルエンジン
0番台:いすゞ6HK1XQA-01S
50番台:ボルボ製(燃料電子制御式)
制動装置 自動空気ブレーキ留置ブレーキ
基礎ブレーキ:片押し式踏面ブレーキ
保安装置 0番台:ATS-SF
50番台:ATS準備工事
最高運転速度 25 km/h
設計最高速度 40 km/h
定格出力 0番台:250PS(184KW)/ 2,000rpm
50番台:285PS(210KW)/ 2,200rpm
最大引張力 6,730 kgf
備考 [2][3]
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DB500形ディーゼル機関車(DB500がたディーゼルきかんしゃ)は、日本貨物鉄道(JR貨物)が2016年(平成28年)から導入している液体式ディーゼル機関車である。制作は北陸重機工業が担当した。

概要

JR貨物では大規模な貨物駅には、入替専用機であるHD300形や本線・入替え兼用のDD200形を投入していたが、本形式は小規模な貨物駅での入替専用機として投入された[2]

北陸重機工業が専用線向けに製造している機械扱いの2軸液体式ディーゼル入替動車(車籍がないいわゆる貨車移動機)をベースとしているが、車両構造や保安装置を法令に適合させた鉄道車両扱いとし[4]信号機(絶対信号機)や自動列車停止装置を用いて保安度を向上させている。

2024年(令和6年)現在4両が導入されているが[4]2016年(平成28年)に導入された0番台(1)と、2021年令和3年)に導入された改良型の50番台(51 - 53)の2グループが存在する[3]

構造

0番台と50番台で若干の差異がある。

車体

全長7.65mのL型1運転台方式の車体を持ち、1エンド側のボンネット内にエンジン1台を搭載し、2エンド側が運転台となっている。

軸配置はA-Aの2軸である[2]。平坦線において、最大500 tのコンテナ貨車の入れ換え可能な性能を有する[2]。 車体は耐候性鋼板製である[2]運転台は自動車同様のペダル方式の主幹制御器と、デスク上にブレーキ弁(手で操作)を有する[2]。2エンド側で通常貨車と連結するため、2エンド側は前面の窓を大きくすることで、連結作業を容易としている[4]。また、運転台は空調装置付きである[4]

50番台では、前面ステップの幅を縮小(連結時の作業性向上のため)、前照灯をLEDとする改良がなされている[3]

機器類

機関

0番台はいすゞ製の直接噴射式エンジン(国交省二次規制相当の排出ガスレベル)を採用している[4]。50番台は機関がボルボ製の燃料電子制御式エンジン(EU3次排ガス規制対応)となり、環境性能向上とともに出力がやや向上している[3][4]。加えて空気圧縮機を機関付属形とすることで、機関ボンネットの小型化を図った[3]

保安装置

0番台では自動列車停止装置ATS-SF形)及び緊急列車停止装置(EB装置)を装備する[2]

50番台は、新たに保安装置としてTE装置防護無線および信号炎管を搭載した[3]。一方で0番台と異なり、ATSは準備工事のみとした[3]

運用

0番台

1号機は門司機関区に配置され[5][6]、2016年(平成28年)10月に落成後、各種試験を行い、2017年(平成29年)3月ダイヤ改正より下関駅構内での入換作業に使用されていたDE10形を置き換え、運用されている[2]

下関駅構内での入換作業自体は操車による誘導で実施しているが、その際に入換信号機(絶対信号機)を用いる場面があることから[5]、貨車移動機ではなく車籍を持つ本形式での置き換えとなった。

50番台

3両(51 - 53)製作され、門司機関区に配置の上、2021年令和3年)から西大分駅延岡駅で車籍のない貨車移動機に代わって使用を開始している[3]。51, 52号機が西大分駅、53号機が延岡駅で運用されている[7][8]。また、50番台では次世代バイオディーゼル燃料の試験も実施している[4]

脚注

  1. ^ 日本貨物鉄道株式会社殿に機関車を納入致しました。”. 北陸重機工業. 2017年10月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会『R&M : Rolling stock & machinery』(2017年5月号) pp. 12-15,76
  3. ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』2022年4月号研究と開発「DB500形式50番代液体式内燃機関車の概要」pp.51 - 54
  4. ^ a b c d e f g 白濱 (2024), p. 37.
  5. ^ a b 鉄道ファン編集部・JR貨物、2017、「CAR INFO」、『鉄道ファン』57巻(通巻676号(2017年8月号))、交友社 p. 65
  6. ^ 鉄道ファン編集部、2018、「車両のうごき 2017-2018」、『鉄道ファン』58巻(通巻687号(2018年7月号))、交友社 p. 62
  7. ^ DB500形50番台が西大分駅に搬入される|鉄道ニュース|2021年9月14日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2021年10月23日閲覧。
  8. ^ DB500形50番台の運用開始|鉄道ニュース|2021年10月13日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2021年10月23日閲覧。

参考文献

  • 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』
    • 2017年5月号研究と開発「DB500形式内燃機関車の開発」(JR貨物車両部技術開発室 西村 敏治)
    • 2022年4月号研究と開発「DB500形式50番代液体式内燃機関車の概要」(日本貨物鉄道株式会社鉄道ロジスティクス本部 神田 吉孝)
  • 白濱, 慶昭「JR貨物における最近の車両開発について」『JRガゼット』第82巻第9号、交通新聞社、2024年9月1日、36-39頁。 





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