頸動脈内膜剥離術のエビデンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 06:07 UTC 版)
「頸動脈狭窄症」の記事における「頸動脈内膜剥離術のエビデンス」の解説
CEAの最も代表的なエビデンスは北米の50施設で開始されたNASCET(North American Syymptomatic Cartoid Endarterectomy Traial)とECST(The European Carotid Traial)が代表的である。これらの大規模研究によって高度狭窄病変に対してCEAと内科的治療の併用が内科的治療のみよりも脳梗塞の再発効果が勝ることが明らかになった。無症候性頸動脈病変に対するエビデンスとしてはACAS(Asymptomatic Carotid Atherosclerosis)とACST(Asymptomatic Cartid Surgery Trial)が知られている。大規模研究のデザインの関係から米国のCEA治療ガイドラインではで症候性病変の手術適応が狭窄率70%以上で適応になるのに対して無症候性病変では狭窄率60%以上で適応となる。CEAのリスクグレーティングではSundtのCEA risk gradingが1975年に報告されているほか、CEAに対してCASの非劣性を証明する無作為比較試験として知られるSAPPHIRE traialでCEAの危険因子が規定された。SAPPHIRE traialで規定されたCEAの危険因子は心疾患(鬱血性心不全、冠動脈疾患、開胸手術が必要など)、重篤な呼吸器疾患、対側頸動脈閉塞、対側咽頭神経麻痺、対側頸動脈閉塞、対側咽頭神経麻痺、頸部直達手術または頸部放射線治療の既往、CEA再狭窄例、80歳以上の少なくとも1つが該当することである。2011年の頭蓋外頸動脈狭窄に関する米国のガイドラインでは血行再建術(CEAまたはCAS)のリスクを増加させる併存する疾患と(Comorbidities that increase risk of revascularization)CEAのリスクを増加させる状態(Unfavorable neck anatomy for arterial surgery)に分けて記載されている。血行再建術のリスクを増加させる併存する疾患としては80歳以上の高齢、心不全(NYHAⅢまたはⅣ)、EF30%以下の左室機能低下、狭心症、肺疾患などがあげられる。これらの疾患がある場合はCEAは内科的治療単独と比較が十分ではない。またmRS3から5のsevere disabilityがないことや無症候性病変の場合は余命も考慮するべきとしている(5年以上の余命と解釈されることが多い)。CEAのリスクを増加させる状態としては第2頚椎より高位の狭窄、胸腔内に至る低位の狭窄、過去の同側のCEAの既往、対側の声帯麻痺、気管切開、頸部大手術後、放射線治療後などが上げられている。SAPPHIRE traialでは80歳以上の高齢者や心疾患、肺疾患はCEAの危険因子であったがガイドラインではCEAとCAS両方とものリスクを増加させる併存疾患となった。
※この「頸動脈内膜剥離術のエビデンス」の解説は、「頸動脈狭窄症」の解説の一部です。
「頸動脈内膜剥離術のエビデンス」を含む「頸動脈狭窄症」の記事については、「頸動脈狭窄症」の概要を参照ください。
- 頸動脈内膜剥離術のエビデンスのページへのリンク