量子論理ゲート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 09:25 UTC 版)
量子ゲートを定義するため、古典的論理ゲートの場合と同様、n-量子ビットの置換について考える。 古典的なビット列空間{0,1}nの量子版はヒルベルト空間である。 H QB ( n ) = ℓ 2 ( { 0 , 1 } n ) . {\displaystyle H_{\operatorname {QB} (n)}=\ell ^{2}(\{0,1\}^{n}).} これは定義により、{0,1}nの複素関数空間、すなわち内積空間である。 この空間は、古典的なビット文字列の線形重ね合わせで構成されていると見なすこともできる。(H QB( n )は、 2n-次元の複素のベクトル空間であることに注意。)この空間の要素を量子ビット列(n-量子ビット)と呼ぶ。 古典的ビット列x 1 x 2 ... x nに対し、ディラックのケット表記を使用し表記される量子ビット列、 | x 1 , x 2 , ⋯ , x n ⟩ {\displaystyle |x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n}\rangle \quad } を考える。これは古典的ビット列x 1 x 2 ... x nを1へ、他のすべてのビット文字列を0へ写す関数に対応する特殊な量子ビット列である。これら古典的ビット列に対応する特殊な量子ビット列は計算基底状態と呼ばれ、ビット長nに対し2n個存在する。また、すべての量子ビット列は、これらの計算基底状態の複素線形結合である。 古典的な論理ゲートとは対照的に、量子論理ゲートは常に可逆である。 これには特別な種類の可逆関数、すなわちユニタリ作用素、つまりエルミート内積を保存する複素内積空間の線形変換を用いる。 すべての量子ビット列に対する(可逆)量子ゲートは、n-量子ビット空間HQB(n)から自己へのユニタリ作用素Uである。 通常、我々はnの小さな値のゲートのみに関心がある。 可逆なn-ビットの古典的論理回路は、次のように可逆なn-ビット量子ゲートを生成する。可逆なnビット論理ゲートfには、次のように定義された量子ゲートW fが対応する。 W f ( | x 1 , x 2 , ⋯ , x n ⟩ ) = | f ( x 1 , x 2 , ⋯ , x n ) ⟩ . {\displaystyle W_{f}(|x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n}\rangle )=|f(x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n})\rangle .} Wfは計算の基底状態を置換することに注意。 中でも特に重要なのは、2-量子ビットの入出力に対して定義される制御NOTゲート( CNOTゲートとも呼ばれる) W CNOTである。 古典的な論理ゲートから派生した量子論理ゲートの他の例としては、 トフォリゲートとフレドキンゲートが挙げられる。 しかし、量子ビットのヒルベルト空間構造は、古典的ゲートでは表現できない多くの量子ゲートを可能にする。 たとえば以下の相対位相シフトは、ユニタリ行列の乗算によって与えられる1-量子ビットのゲートである。 U θ = [ e i θ 0 0 1 ] , {\displaystyle U_{\theta }={\begin{bmatrix}e^{i\theta }&0\\0&1\end{bmatrix}},} すなわち、 U θ | 0 ⟩ = e i θ | 0 ⟩ U θ | 1 ⟩ = | 1 ⟩ . {\displaystyle U_{\theta }|0\rangle =e^{i\theta }|0\rangle \quad U_{\theta }|1\rangle =|1\rangle .}
※この「量子論理ゲート」の解説は、「量子回路」の解説の一部です。
「量子論理ゲート」を含む「量子回路」の記事については、「量子回路」の概要を参照ください。
- 量子論理ゲートのページへのリンク