衝突起源の証拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 08:14 UTC 版)
「ニュー・ケベック・クレーター」の記事における「衝突起源の証拠」の解説
1962年、クレーターの南東縁からコブシ大の細粒の多孔質な融解岩石が一個、転石として発見された。当初は火山岩であるとされ、クレーターの火山起源を裏付けるものとされた。しかし後にカナダ地質調査所のブライス・ロバートソン(P. Blyth Robertson)博士はこの試料を再研究し、石英に面状変形組織(PDF)が認められることを発見した。この微細組織は強い圧力を受けないと形成されず、それだけの衝撃を与えられるのは隕石衝突だけである。これにより、この岩石は火山岩ではなく衝突融解岩であり、このクレーターが隕石の衝突によって作られたと結論付けた。それから20年間にわたって、ニュー・ケベック・クレーターが隕石衝突起源である証拠は1960年代に発見されたたった一つの岩石しかなかった。 その後、クレーターの北のラフラメ湖南岸にいたるまでの領域から衝撃変形鉱物を含む衝突融解岩の礫がいくつも見つかり、クレーターの衝突起源説を補強した。クレーターから離れて衝突融解岩が見つかったのは、氷河および融解水が移動させたためと考えられている。その成分の分析から、衝突した隕石はコンドライト質と推定されている。また、40Ar-39Ar年代決定によって、衝突年代は140±10万年前と見積もられた。 クレーターの大きさから計算した衝突エネルギーの量から、直径100 - 300mの隕石が15 - 25km/sの速さで衝突してこのクレーターを作ったと推定されている。
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