脳電図 vs 脳磁図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/29 14:41 UTC 版)
脳電図も脳磁図も同じ神経生理学的な過程から得られる信号を計測しているが、両者には重要な違いが存在する。 電場とは対照的に磁場は頭蓋骨や頭皮による抵抗の影響を受けにくい。そのため、脳磁図はより高い空間分解能を得ることが出来る。電場と磁場は互いに直交するので、最も感度の高い方向、通常は場が最大になる方向は互いに直交している。頭皮上脳電図は球状体積の伝導体内における、電流源の接線方向と動径方向の両方の成分に感受性を持つが、脳磁図は接線方向にしか感受性を持たない。したがって脳磁図は脳溝内の活動を選択的に計測する。一方、頭皮上脳電図は、脳溝と脳回の頂点の両方の活動を計測できるが、動径方向の電流源の信号が支配的である。 頭皮上脳電図はシナプス後電位によって発生する細胞外体積電流に感受性を持つが、脳磁図は主にシナプス後電位による細胞内電流を検出する。何故なら、体積電流による磁場成分は球状体積の伝導体ではキャンセルしあう傾向があるからである。距離によって生じる磁場の減衰は電場のそれよりも強い。したがって脳磁図は脳表面の活動により感受性が高く、新皮質性てんかんの研究に適している。また、データの解釈に影響を及ぼす、頭皮上脳電図における基準電極のような基準を必要としないという違いも存在する。
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