能動光集積回路PICs
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 00:37 UTC 版)
末松は研究の初期から能動光集積回路が光通信に必要と考えていた。1963年に平面レーザの解析、1968年には海外研修先のオハイオ州立大(米)で平面導波路型の半導体光パラメトリック発振器を発明した。1969年にStewart Miller(米)はベル・システム・技術誌(BSTJ) で光集積回路を具体的に提唱した。1974年に末松は協力者達と光集積回路の中心となる集積レーザ、集積二重導波路ITG集積レーザを実現し、その後1981年に作成の容易なBJB集積レーザを開拓し、波長可変レーザの開拓につなげた。このITG集積レーザの研究に対して1979年の業績賞が与えられている。1975年に中村道治らは0.85μm帯のGaAlAs DFBレーザの室温連続発振に達した。1977年に末松は集積レーザを中心とした能動光集積回路を提案、1978年には岸野克巳らと半導体レーザと半導体光増幅器(現在はSOA:Semiconductor Optical Amplifierと呼ばれている)や光検出器との一体集積を達成し、この様なレーザ中心の平面型の光集積回路を1987年にPICs(Photonic Integrated Circuits)と名付けた。この名称は現在、広く用いられている。Larry ColdrenとDaniel Blumenthal(米)らは、ルータ用に大量なPICsを開拓した。2011年のRadha Nagarajan(米)らは超高速Tb/sのコヒーレント受光PICsを開拓した。大規模集積化は一層進み、2014年には、Summers(米)らは40X57Gb/s(2.25Tb/s)のコヒーレント送信PICsを開拓した。光集積回路では複雑な導波路で光が弱くなるので、光強度の増大のために発振前の半導体レーザによる光増器(SOA)が随所で用いられている。2000年に東工大の水本哲也らは導波路型アイソレータを実現した。2012年にNTTの松尾らはホトニック結晶レーザの室温連続動作を達成した。1990年にSi基板上に構成されたシリカ光受動回路の集積光回路がNTTの河内正夫により提案され、Si-PICsに発展している。Si-PICsでは光を出すレーザが無く、その欠陥を埋めるためにSi基板やSiやシリカ導波路に、レーザやInP材料を貼り付けるInP-Si-ハイブリッド-PICsが開拓されている。
※この「能動光集積回路PICs」の解説は、「末松安晴」の解説の一部です。
「能動光集積回路PICs」を含む「末松安晴」の記事については、「末松安晴」の概要を参照ください。
- 能動光集積回路PICsのページへのリンク