肺の腫瘤性病変
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 00:13 UTC 版)
「コンピュータ断層撮影」の記事における「肺の腫瘤性病変」の解説
腫瘤性病変は癌か良性疾患かの区別が非常に重要となる。前回の画像と比較して増大傾向があるのか?あるのならどのくらいの増大速度かといったところが非常に重要となる。所見を指摘する上、発生部位はどこで大きさはどれくらい、増大速度を前回比較で導き、結節の輪郭、内部の性状、周辺の状態をから複合的に診断を行う。 結節の輪郭 輪郭が明瞭か不明瞭か、陥凹と分葉化があるのか、棘形成(spiculation)があるのかを述べる。結節と肺組織の間に滲出液が存在するとすりガラス陰影が発生し境界は不明瞭となる。炎症性変化や肺胞隔壁を破壊しない悪性腫瘍の場合によく見られる。 内部の性状 濃度が均一か、石灰化、脂肪、空洞(空気)があるのか造影効果はどうなのかによって内部構造を予想することができる。 周辺の状態 胸膜陥入像、娘結節、気管支肥厚像、無気肺、閉塞性肺炎、気管支粘液栓、リンパ節腫大の有無で腫瘤の性質を予想することができる。 腫瘤性病変のCT所見としては、2年以上にわたって増大が認められなかったり、腫瘤のほぼ全体が濃く石灰化していたり、腫瘤内に脂肪を認めた場合は良性である。肺癌に多いが決め手とならない所見としては、表面の陥凹、分葉化、棘形成、不均一な内部濃度、胸膜陥入像、低いCT値、リンパ節腫大が挙げられる。良性腫瘍に多いが決め手にならない所見として、辺縁が明瞭で円滑であること、均一な内部濃度をもつことが挙げられる。辺縁が不明瞭、腫瘤内に空洞、泡沫状空気、air bromchogramがあるといった所見は肺がんでも炎症でも認められる。娘結節、気管支肥厚像、小さい石灰化は炎症に多いが肺癌にも認められる。CTのみで診断を行うのは難しく、気管支鏡や生検、細胞診を組み合わせることが診断では重要である。
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