聴力レベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/15 16:55 UTC 版)
最小可聴値は特定の音圧(20 µPa)を基準にした dB SPL で表現するが、聴力検査などの用途には正常な聴力を基準にどの程度悪いかを表現できた方が都合がよい。このような用途のためには聴力レベルを表す dB HL(Hearing Level)を用いる。これは正常な聴覚を持つ人が検知できる各周波数での音圧を基準音圧 0 dB HL とし、音圧をデシベル(dB)で表現したものである。 正常な聴力の場合は全ての周波数で 0 dB HL の直線となり、難聴などの場合はその程度に応じて聞きにくい周波数での値が大きくなる。最小可聴値のグラフとは逆に、聴力レベルのグラフ(オージオグラム)の縦軸では 0 dB HL が上で値が大きくなる(聴力が悪くなる)方が下になるよう表現する。測定は 125 あるいは 250Hz から 8000Hz までの複数の周波数で行われ、聴力レベルが 25 dB HL を超えるものが難聴と見なされる。 右耳と左耳の聴力はそれぞれ気導受話器(イヤホン)経由で測定される。これは気導聴力と呼ばれオージオグラム上では"○"が右耳、"×"が左耳の聴力を表す。さらに、蝸牛から聴覚中枢に至る部位の病変を調べるため、額にあてた発振器などを用い測定する骨導聴力もあり、オージオグラム上では"<"や"[ "が右耳、">"や"]"が左耳の聴力を表す。 オージオグラム、正常な場合 オージオグラム、伝音性難聴の例 オージオグラム、感音性難聴の例 オージオグラム、混合性難聴の例 世界保健機関(WHO)が定めた平均聴力レベルによる聴覚障害の等級は以下の通り。 世界保健機関による聴覚障害の等級 (2008)等級平均聴力レベル聞こえ方0 - 障害なし 25 dB HL 以下 ささやき声を聞き取ることができる 1 - 軽度難聴 26-40 dB HL 1 mの距離での普通の声で単語の聞き取り/繰り返しができる 2 - 中度難聴 41-60 dB HL 1 mの距離での大きな声で単語の聞き取り/繰り返しができる 3 - 高度難聴 61-80 dB HL 良いほうの耳での怒鳴り声でいくつかの単語を聞き取れる 4 - 重度難聴 81 dB HL 以上 怒鳴り声でも聞き取ることができない 日本の身体障害者福祉法では、両耳の平均聴力レベルが70dB以上、または片方の耳の聴力が90dB以上でもうひとつの耳の聴力が50dB以上の場合に身体障害者と認定される。
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