無機多硫化物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/24 01:44 UTC 版)
無機多硫化物は広く存在しており、もっとも有用なものとしては、農業分野において殺虫剤として使用されていきた石灰硫黄合剤、硫化カルシウム(CaSn)がある。ほか、多硫化物構造を持つさまざまな錯体が、研究論文の中で幅広く論じられてきている。(C5H5)2TiS5、[Ni(S4)2]2−、そして [Pt(S5)3]2− などの遷移元素の多硫化物複合体はその例である。典型元素も遷移元素と同様に多硫化物を形成する。 化学パルプの製造においてエネルギー削減を達成するため、硫化ナトリウム水溶液に硫黄を溶かしこんだポリ硫化ナトリウム(ポリサルファイド)を蒸解薬剤として用いる例が開発された。水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムからなる蒸解薬剤(白液)を酸化することで水酸化ナトリウムとポリ硫化ナトリウムが得られるが、蒸解に寄与しないチオ硫酸ナトリウムの生成を抑止するため、空気酸化ではなく電解によって酸化することで水酸化ナトリウム分を上げ、パルプ歩留まりの増加と、黒液中の有機物減少をもたらす。このことはソーダ回収ボイラーの熱負荷を下げることにつながり、パルプ増産を可能にした。
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