ふってん‐じょうしょう〔‐ジヤウシヨウ〕【沸点上昇】
沸点上昇
英訳・(英)同義/類義語:elevation of boiling point, molar elevation of boiling point
溶媒に不揮発性の溶質が溶けた溶液では、本来の溶媒の沸点よりも高い温度で沸騰する現象。希薄溶液では、沸点上昇の度合いが溶液のモル濃度に比例するので、これを利用し、分子量を推定することができる。
実験方法装置単位など: | 水銀温度計 沈降係数 沸点 沸点上昇 沸騰 浸透圧ショック法 液体クロマトグラフィー |
沸点上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 22:49 UTC 版)
沸点上昇(ふってんじょうしょう)とは、不揮発性の溶質を溶媒に溶解させると蒸気圧降下が起こり、溶液の沸点が上昇することである。不揮発性の溶質を溶解させた希薄溶液は束一的性質をもち、沸点上昇度ΔT は溶質の種類にかかわらず溶質の重量モル濃度m に比例する。
- ^ A. G. Whittaker; A. R. Mount; M. R. Heal; 中村亘男訳 『キーノート化学シリーズ 物理化学キーノート』 シュプリンガー・フェアラーク東京、2002年。ISBN 4-431-70956-8。
- 1 沸点上昇とは
- 2 沸点上昇の概要
沸点上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/11 16:51 UTC 版)
沸点の上昇度 ΔT は Σm に比例する。ここで Kb は沸点上昇定数である。 Δ T = K b ∑ m {\displaystyle \Delta T=K_{\text{b}}\sum m} この式が成り立つのは、溶質がすべて不揮発性である場合に限られる。
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沸点上昇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 00:00 UTC 版)
希薄溶液の溶質がすべて不揮発性であるとき、この溶液の沸点は純物質の沸点よりも高くなる。この現象を沸点上昇という。沸点上昇は、理想希薄溶液の束一的性質のひとつである。この節では、沸点上昇度 ΔT が溶媒固有の性質と溶質のモル分率の総和で決まり、溶質の種類には依らないことを示す。 1成分系の気液平衡、すなわち液相には純溶媒しかなく、気相には純溶媒の蒸気しかないときの気液平衡では、溶媒蒸気の化学ポテンシャル μ*1, gas(T*bp, P) は液相にある溶媒の化学ポテンシャル μ*1, liq(T*bp, P) に等しい。 μ 1 , gas ∗ ( T bp ∗ , P ) = μ 1 , liq ∗ ( T bp ∗ , P ) {\displaystyle \mu _{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)=\mu _{1,{\text{liq}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)} ここで T*bp は圧力 P における純溶媒の沸点である。 溶媒に不揮発性の物質を溶かしたとき、溶液の沸点が純溶媒の沸点より ΔT だけ上昇したとする。このとき、溶液の沸点における気液平衡の式は μ 1 , gas ∗ ( T bp ∗ + Δ T , P ) = μ 1 , liq ( T bp ∗ + Δ T , P , X ) {\displaystyle \mu _{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T,P)=\mu _{1,{\text{liq}}}(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T,P,{\boldsymbol {X}})} となる。溶質が不揮発性なので気相は純粋な溶媒蒸気のままで、1成分系のときと温度だけ変わる。右辺の液相の化学ポテンシャルは、溶液中の溶媒の化学ポテンシャルである。 溶液の沸点における気相の化学ポテンシャルは、μ*1, gas(T*bp + ΔT, P) をテイラー展開して (∂μ/∂T)P = −s を用いると μ 1 , gas ∗ ( T bp ∗ + Δ T , P ) = μ 1 , gas ∗ ( T bp ∗ , P ) − s 1 , gas ∗ ( T bp ∗ , P ) Δ T + O ( Δ T 2 ) {\displaystyle \mu _{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T,P)=\mu _{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)-s_{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)\Delta T+O\left(\Delta T^{2}\right)} となる。ただし s*1, gas(T*bp, P) は純溶媒の沸点における溶媒蒸気のモルエントロピーである。また、溶液が理想希薄溶液であれば、溶液中の溶媒の化学ポテンシャルは s*1, liq(T*bp, P) を沸点における純溶媒のモルエントロピーとして μ 1 , liq ( T bp ∗ + Δ T , P , X ) = μ 1 , liq ( T bp ∗ , P , X ) − s 1 , liq ( T bp ∗ , P , X ) Δ T + O ( Δ T 2 ) = μ 1 , liq ∗ ( T bp ∗ , P ) − s 1 , liq ∗ ( T bp ∗ , P ) Δ T + R ( T bp ∗ + Δ T ) ln X 1 + O ( Δ T 2 ) {\displaystyle \mu _{1,{\text{liq}}}(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T,P,{\boldsymbol {X}})=\mu _{1,{\text{liq}}}(T_{\text{bp}}^{*},P,{\boldsymbol {X}})-s_{1,{\text{liq}}}(T_{\text{bp}}^{*},P,{\boldsymbol {X}})\Delta T+O\left(\Delta T^{2}\right)=\mu _{1,{\text{liq}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)-s_{1,{\text{liq}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)\Delta T+R\left(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T\right)\ln X_{1}+O\left(\Delta T^{2}\right)} で与えられる。 以上の4つの等式から、沸点上昇度 ΔT は Δ T = − R T bp ∗ ( T bp ∗ + Δ T ) Δ vap H m ∗ ( T bp ∗ , P ) ln ( 1 − ∑ i ≠ 1 X i ) + O ( Δ T 2 ) {\displaystyle \Delta T=-{\frac {RT_{\text{bp}}^{*}\left(T_{\text{bp}}^{*}+\Delta T\right)}{\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)}}\ln \left(1-\sum _{i\neq 1}X_{i}\right)+O\left(\Delta T^{2}\right)} となる。ただし、 ΔvapHm*(T*bp, P) は純溶媒の沸点におけるモル蒸発エンタルピーであり、沸点における気相と液相のエントロピー差と s 1 , gas ∗ ( T bp ∗ , P ) − s 1 , liq ∗ ( T bp ∗ , P ) = Δ vap H m ∗ ( T bp ∗ , P ) T bp ∗ {\displaystyle s_{1,{\text{gas}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)-s_{1,{\text{liq}}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)={\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)}{T_{\text{bp}}^{*}}}} の関係にある。 溶質のモル分率の総和が十分に小さいときには、ln(1 − ΣXi) = −ΣXi と近似できる。この近似の下では、溶質がすべて不揮発性であるときの理想希薄溶液の沸点上昇度は次式で与えられる。 Δ T = R T bp ∗ 2 Δ vap H m ∗ ( T bp ∗ , P ) ∑ i ≠ 1 X i {\displaystyle \Delta T={\frac {R{T_{\text{bp}}^{*}}^{2}}{\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}^{*}(T_{\text{bp}}^{*},P)}}\sum _{i\neq 1}X_{i}} すなわち、沸点上昇度 ΔT は溶質のモル分率の総和に比例する。比例係数は溶媒固有の性質で決まり、溶質の種類には依らない。
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