日向焼酎(ひゅうがしょうちゅう)
宮崎県産焼酎の総称。宮崎県はその嗜好(しこう)によって二つの焼酎圏に分かれる。ほぼ耳川を境として北部はトウキビ焼酎が好まれ、以南の地域ではイモ焼酎が飲まれている。なにゆえ二つの焼酎圏に分かれたのか詳(つまび)らかではないが、宮崎県の歴史的変遷から、北部は熊本・大分に対する政治・経済の依存度が高く、南部は鹿児島へのそれが強かったためとする説が有力である。焼酎の製造もそれぞれの地域に二分されていたが、近年は県外移出向けに、ソバ・コメ・ムギ・カンショなどの焼酎が全県下でつくられるようになってきた。日向焼酎の一般的な酒質特性は、荒味のない軽快さにあるが、反面、風味に乏しくコクが少ないともいえる。これは醪(もろみ)を蒸留する際の終了時点(カットという)を他の焼酎より高めに持っていくためで、ソフト化などの消費嗜好に合致して、近年注目をあびている。土産物として、流通機構を通じて、あるいは物産展・見本市など、県外のそれも今まで焼酎消費地でなかった地域への販路が広まるにつれ、原料の多様化には目覚ましいものがあり、最近ではクリ・ヒエ・アワ・ヤマイモ・シイタケ・カボチャ・ピーナッツ・ヤシなどの焼酎も現れた。手当たりしだいといった感さえある原料多様化の一方で、従来の原料を見直し、契約栽培によって自家焼酎の品質を確保し、向上しようとする酒造家の動きがあることはたのもしい。
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