文学における使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 17:09 UTC 版)
「Between you and I」の記事における「文学における使用」の解説
「Between and I」は『ヴェニスの商人』の第3幕第2場、タイトルになっているキャラクターのアントーニオ(英語版)によって友人バサーニオ(英語版)へ書かれた散文の手紙の中で現われる。 Sweet Bassanio, ... all debts are cleared between you and I if I might but see you at my death. バサーニオー、 ... きみとぼくの間の債務はすべて消えるが、それにつけても死ぬ前に1目会いたい。 作家で批評家のヘンリー・ヒッチングズ(英語版)は、ウィリアム・コングリーヴ(英語版)の『二枚舌(英語版)』(1693年)やマーク・トウェインの手紙での使用を指摘する。オットー・イェスペルセンは類似例(Robert J. Mennerの言葉で「前置詞の後の代名詞または名詞足すI」)を、ベン・ジョンソン、ジョン・バニヤン、チャールズ・ディケンズ、グレアム・グリーンの作品中に見出し、Mennerはさらにノア・ウェブスター、サミュエル・ピープス、トマス・ミドルトンなども追加した。 様々な批評家らがシェイクスピアの台詞について言及してきた。アメリカの作家ラッセル・ベイカーは、ニューヨーク・タイムズ紙のコラム "Observer" において、この言い回しを文法的誤りと見做した—「文法的には、もちろん、シェイクスピアは間違っていた」。ベイカーは、シェイクスピアがおそらく「うっかり間違った」と述べた: 「私の推測は、彼は速く書き進めていて、一日を終える頃には疲れてしまって、この『ベニスの商人』の構想をもう練りたくないと思い、ジョンソンやバーベッジと人魚亭(英語版)でビールを飲みに出掛けたくて仕方がなかったのだろう、というものだ」。MennerはAmerican Speech(英語版)誌の1937年の論文において、「you and Iという言い回しが文法的に不可分であるとしばしば感じられること、たぶん 頻繁に用いられていたこと、そして『'between you and I' がエリザベス女王時代にもともと過剰修正であったとは断言できない』ことは明白である」と述べた。Mennerは、自身がこの言い回しを正しいと考えているのか、正しくないと考えているのかについては述べなかった。 その他の人々は、シェイクスピアの文法的誤りを非難していない。社会学者のロバート・ニスベットはこの言い回しを咎める者たちを「言葉スノッブ」と批判し、オックスフォード英語辞典編集者のロバート・バーチフィールド(英語版)は、私達にとって正しくないものがシェイクスピアにとって必ずしも正しくない訳ではない、と述べた: 「当時、文法的前提は異なっていた」。この見解は文献学者・文法学者のヘンリー・スウィートによって共有されている。しかしながら、ブライン・ガーナーは、この言い回しがシェイクスピアにとって誤りでなかったとしても、今日では正しくないし、そう見做されるべきである、と述べ、「確かにシェイクスピアはどちらも('between you and I' と 'between you and me')使用したが、それ以上の正しさはない」という言語学者ランドルフ・クワーク(英語版)の言葉を引用した。
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