散瞳を起こす病態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/10 15:30 UTC 版)
散瞳では動眼神経麻痺、緊張瞳孔(アディー瞳孔)、パリノー症候群など副交感神経障害を第一に考える。無酸素脳症などの脳の広汎な障害でも散瞳が生じる。アトロピン、三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などの抗コリン作用の薬剤でも散瞳を起こす。 Marcus Gunn瞳孔(RAPD) 視神経炎や網膜剥離など視神経の求心路に障害があるときはライトの光を両眼に当てることを繰り返すと患側の眼は光があたっているのにもかかわらず、やや散瞳することがある。注意深く見ると、わずかに収縮した後に逆に散瞳が起きている。これは相対的求心性瞳孔障害(RAPD)またはMarcus Gunn瞳孔と呼ばれる。視神経線維の減少で対光反射が減弱しているために起き、軽微な視神経障害の特有な症候である。 アディー瞳孔 散瞳(楕円形)、対光反射消失、輻輳で徐々に縮瞳すればアディー瞳孔である。若い女性に多く、片側性で急性に発症する。正常眼は反応しない2.5%メコリールまたは0.125%ピロカルピン(副交感神経作動薬)点眼に過敏反応して縮瞳するので、毛様体神経節以降の節後線維の障害が原因である。アディー瞳孔に加えて腱反射消失、下痢・起立性低血圧・発汗異常など自律神経障害があればアディー症候群という。 パリノー症候群 散瞳、対光反射と輻輳調節反射の消失、上方注視麻痺を呈する。垂直注視中枢と動眼神経核が存在する中脳上丘の障害で起こり、松果体腫瘍、第三脳室腫瘍、多発性硬化症などでみられる。
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