故障・破損
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 21:41 UTC 版)
転がり軸受は理想的ではない条件でよく使われているが、ちょっとした問題が原因で突然破損することがある。例えば、平坦で真っ直ぐな道路上で、ちょっとした振動で軌道輪と転動体の間から潤滑剤が漏れ出すことがある。潤滑が不足すると軸受は回転していなくても故障しやすくなる。 軸受には寿命と荷重許容量を制限する3つの問題として、摩滅、疲労、圧力による融合がある。摩滅は、硬い汚染物が軸受に入り込んで材料を削っていく現象である。疲労は、荷重がかかったり解放されたりを繰り返すことで材料が破損する現象である。転動体が軌道輪に接触したとき、常に何らかの変形が生じるため、疲労の危険性がある。転動体が小さいほど変形が激しいため、疲労も早まる傾向がある。圧力による融合は、2つの金属部品に高い圧力がかかることで一体化してしまう現象である。転動体や軌道輪は滑らかに見えるが、顕微鏡レベルで見れば凹凸がある。そのため、微細な点に強い圧力がかかって、そこから潤滑剤が排除されることがある。このため顕微鏡レベルで転動体の一部が軌道輪に融合することがある。軸受は回転し続けるため、通常は融合が壊れるが、軌道輪と転動体がくっついたままになることがある。 軸受の故障や破損には様々な原因があるが、その多くはこの3種類に帰結する。例えば、潤滑不足の軸受が故障するのは潤滑剤が足りないことが直接原因ではなく、それによって疲労と融合が発生し、さらにそれによって微細な金属片が生じて磨耗するのが原因である。フレッティング磨耗も同様の現象である。高速回転では、潤滑油の対流によって軸受の金属の温度が低下する。潤滑油は軸受で生じた摩擦損失のためのヒートシンクになる。
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