抑制因子と活性化因子の競合: HIV-1 tat エクソン2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 23:47 UTC 版)
「選択的スプライシング」の記事における「抑制因子と活性化因子の競合: HIV-1 tat エクソン2」の解説
ヒトでAIDSを引き起こすレトロウイルスであるHIVは1本のRNA一次転写産物を産生し、複数通りの選択的スプライシングを受けて40以上の異なるmRNAが産生される。異なるスプライシングを受けた転写産物間の平衡によって異なる産物をコードする複数のmRNAがもたらされており、この機構はウイルスの複製に必要とされる。異なるスプライシングを受ける転写産物にはtat遺伝子が含まれ、その中のエクソン2がスキップされたり組み込まれたりするカセットエクソンである。エクソン2の組み込みはスプライシング抑制因子hnRNP A1とSRタンパク質SC35の間の競合によって調節されている。エクソン2内部に存在するESSとESEの配列は重複している。A1抑制タンパク質がESSに結合した場合、複数のA1分子が協調的に結合してエクソン2の上流の5'供与部位まで伸び、コアスプライシング因子U2AF35がポリピリミジントラクトに結合するのを防ぐ。SC35がESEに結合した場合、A1の結合は防がれて5'供与部位はスプライソソームの組み立てのためにアクセス可能な状態が維持される。活性化因子と抑制因子の競合は、両方のmRNAのタイプ(エクソン2を含むものと含まないもの)が産生されることを保証している。
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