批判について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:21 UTC 版)
浜田宏一は「自分の国物価のことは自分の国の金融政策で対応するのが変動制下の基本的なルール。いわゆる近隣窮乏化論というのはまったく根拠がない」「『通貨戦争は悪である』という考え方は、前世紀の固定相場制下の発想である。変動相場制下においては『通貨政策の失敗はそれぞれの国の責任である』というのが、政治経済学の国際常識である」と指摘している。 片岡剛士は「自国通貨安は近隣窮乏化に繋がるとの批判があるが、(金融緩和策を通じた)通貨安により当該国の購買力が高まれば、輸入というかたちで効果は当該国以外の国にも波及する。世界的なインフレ率の低下と需給ギャップの拡大が懸念される中で、各国が一致して同時に行動を起こすのがセオリーである」と指摘している。 経済学者の若田部昌澄は「IMFは為替操作を基本的には認めていない。ただ、これを金融政策としてやれば、為替操作に当たるかどうかという問題を回避できる。そういうことをすると、近隣窮乏化という批判を受ける。仮に百歩譲って近隣窮乏化だとしても、こちらがそれに参加しないと自国窮乏化になってしまう。結局のところ、我々が貧しくなりたくないのであれば、近隣窮乏化であろうがなかろうが、通貨安競争には参加するしかない」と述べている。 経済学者の高橋洋一は「『国内対策として金融政策を実施することによって結果として通貨安になるのはいいが、為替介入によって通貨安にしてはいけない』という国際常識を踏まえておけば、国際的な批判は集まらない」と述べている。 経済学者の翁邦雄は「安倍政権が当初、大胆な金融緩和の目的として、為替レートの円安誘導を明言し、手段として外債購入に言及したり、為替レートの誘導目標水準まで言い続けたのは大失敗である。狙いがそういうことだと困るということで、海外から強い反発があり、金融緩和そのものにブレーキがかかった。あくまでもいろいろな要素の全体的な結果として、為替レートが動いてしまった、という方向への軌道修正を徹底していく必要がある」と指摘している。
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