急性GVHDの診断と治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 13:51 UTC 版)
「造血幹細胞移植」の記事における「急性GVHDの診断と治療」の解説
急性GVHDとは定義上は移植後100日以内に発症するGVHDとされている。移植片中の成熟T細胞が関与すると考えられている。骨髄破壊的な移植を行った場合は移植後2~3週間後に好発し、60日以内の発症の場合が多い。しかし、骨髄非破壊的なミニ移植の場合は60日以降の発症も珍しくない。主な障害臓器は皮膚、消化管、肝臓である。初発症状としては皮膚症状、皮疹が最も多く、消化管症状としては下痢が多い。緑色の水様下痢が特徴的だが血性下痢となることも多い。重症度は皮疹の広がり、下痢の量、ビリルビン値の上昇により、重症度は決定される。少なくとも一つの臓器障害が48時間以上持続し、他の原因疾患が否定されたとき急性GVHDと診断をすることができる。予防のため、免疫抑制剤の投与を通常は受けているが、それでも一定の確率で発症する。 グレードII以上の急性GVHDが認められた場合はメチルプレドニゾロン1.0 mg/Kg/dayの投与を開始する。速やかに改善が認められた場合は1週間、1週間以内に改善が認められた場合は2週間、同容量で治療を続け、その後0.2 mg/Kg/dayずつ減量していく。投与量が0.4 mg/Kg/day以下になったら0.1 mg/Kg/dayずつ減量していく。無効な場合はステロイドパルス療法や抗胸腺細胞グロブリン (ATG) といったその他の免疫抑制剤の投与を検討する。重要な鑑別として血栓性微小血管症(TMA)があげられる。 急性GVHDにはGVL効果があり、発症すると逆に再発率は低下するといわれている。ただし、GVHD予防法によってある程度の長期無病生存が期待できる疾患においてはGVHDをあえて誘導するような治療は行うべきではないとされている。
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