幾何学と水素結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 08:19 UTC 版)
αヘリックス中のアミノ酸は5.4Å単位の右巻きらせん構造をしている。それぞれのアミノ酸はらせん中で100°向きを変え(つまりらせんは3.6残基で1回転し)、らせんの軸の方向に1.5Å進む。アミノ酸のアミノ基は4残基離れたアミノ酸のカルボキシル基と水素結合を作っている。これに対して、水素結合が3残基ごとのものは310ヘリックス、5残基ごとのものはΠヘリックスと呼ばれる。αヘリックス以外のヘリックス構造はあまり見られないが、310ヘリックスはαヘリックスの末端部で見られることがある。水素結合が2残基ごとの不安定なヘリックス(δヘリックスと呼ばれることがある)が、αヘリックス形成の中間体として分子動力学法を使ったシミュレーション中に現れたという報告もある。 αヘリックス中のアミノ酸の二面角は(φ, ψ)=(-60°, -45°)であることが多い。より一般的には、ある残基のψの二面角と次の残基のφの二面角の値の合計がおよそ-105°になる。その結果、αヘリックスはラマチャンドランプロットでは、(-90°, -15°)の点と(-35°, -70°)の点を結ぶ傾き-1の線分として表される。これに対して、310ヘリックスの二面角の合計はおよそ-75°、Πヘリックスの二面角の合計はおよそ-130°である。全てのトランス型ポリペプチドヘリックスの回転角Ωは、次の一般式で与えられる。 3 cos Ω = 1 − 4 cos 2 [ ( ϕ + ψ ) / 2 ] {\displaystyle 3\cos \Omega =1-4\cos ^{2}\left[\left(\phi +\psi \right)/2\right]} αヘリックスは密に詰まっていて、らせんの内部にはほとんど空いた空間がないほどである。そのためアミノ酸の側鎖は、クリスマスツリーのように全て下側外向きを向いている。この配向性は低解像度の電子密度マップでタンパク質の骨格の方向を決めるのに利用されることもある。
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