平均海水位の測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:26 UTC 版)
こうしたツバルの平均海面が実際どの程度上昇傾向にあり、それがどの程度まで気候変動によると疑われるものであるかについて知るためには、精密な潮位計の記録から平均気圧の変動などの影響を取り除き、エル・ニーニョ、PDO(太平洋十年規模振動)のような短期・中期的な変動がならされるような長期間の綿密な調査が必要とされる。 一般にこうした影響がなくなり、年1ミリの違いを統計的に有意に述べるには50–60年の継続的な観測が必要だと見積もられている。 誤差は大きいものの、SEAFRAMEによる2006年までの測定結果では、平均海水位の上昇傾向が1993年からの平均で年5.7ミリであったことが報告された。 その後、2021年までのおよそ28年間の測定結果では、この値は年平均4.7ミリとなっている。 このフナフティの海面上昇は、ほぼ同期間の地球全体の平均海面上昇率として報告されているおよそ年3ミリ強よりはやや大きいが、西太平洋に偏った上昇にはいくらかのPDOの影響があると思われ、さらなる継続的な測定が必要とされている。 一方、こうしたツバルの水害が地盤の変動によるものではないかという推測は、2002年にツバルなどがアメリカを提訴する動きを見せていたときにアメリカの気候問題主席交渉担当官から出されたほか、その後もなされてきた。 GPSによる変位の測定は行われだしてから日が浅いものの、2007年までのおよそ6年間の測定での絶対的上下動は年1ミリに満たない微弱なものであり、空港や市街地の水準点の2009年までの相対的変動も数ミリの範囲にとどまっており、この間フナフティが全体的あるいは局所的に地盤沈下したという証拠は認められない。 なお、発達した環礁の一般的な沈降速度は予想されている海面上昇速度よりもずっと小さく、ツバルにおいても −0.03 mm/年 程度である。
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