実演家人格権
ア 氏名表示権
自分の実演について、実演家名を表示するかしないか、表示するとすればその実名か変名(芸名等)かなどを決定できる権利です(第90条の2)。
ただし、実演の利用の目的及び態様に照らして、「実演家の利益を害するおそれがないとき」又は「公正な慣行に反しないとき」は、実演家名を省略することができます。例えば、BGMとして音楽を利用する場合に、氏名表示を省略することがこれに当たります。
イ 同一性保持権
自分の実演について、無断で名誉声望を害するような改変をされない権利です(第90条の3)。
著作者の同一性保持権の場合は、著作者の意に反する改変のすべてについて権利が及びますが、実演家の同一性保持権は名誉声望を害するような改変のみに権利が及んでおり、侵害があった場合には、権利者である実演家が名誉声望を害されたということを立証しなければなりません。
また、実演の性質やその利用の目的・態様に照らして、「やむを得ない」と認められる場合や、「公正な慣行に反しない」場合は、除かれます。例えば、ある映画を放送する場合に、放送時間に適合するように再編集するようなことが、これに当たります。
実演家人格権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/26 14:52 UTC 版)
実演家人格権(じつえんかじんかくけん)とは、実演家[注 1]がその実演[注 2]に対して有する人格的利益の保護を目的とする権利の総称である。
- ^ 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。(著作権法2条1項4号)
- ^ 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。(著作権法2条1項3号)
- ^ なお、遺言指定人による行使権は、著作者の死亡の日の属する年の翌年から起算して50年を経過した後(即ち死亡年に51を加えた年の元日以降)は消滅する。ただし消滅するべき日に2親等内の親族が生存等している場合は、当該2親等内の親族が全て死亡(失踪宣告を含む)した日に消滅する。 なお、2018年12月30日施行のTPP11法改正以降は、著作者の死亡の日の属する年の翌年から起算して70年を経過した後(即ち死亡年に71を加えた年の元日以降)に消滅することとなる。
- ^ 第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。非親告罪
- ^ 著作者人格権の場合と異なり、両方条件(AND)ではなく、片方条件(OR)である。
- ^ 著作者人格権の場合と異なり、両方条件(AND)ではなく、片方条件(OR)である。
- 1 実演家人格権とは
- 2 実演家人格権の概要
- 3 一身専属性、処分可能性
- 4 侵害に対する刑事罰
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