定義と語法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 23:43 UTC 版)
「交換」あるいは「可換」("commutative") という語は(関連はあるが厳密には異なる)いくつかの意味で用いられる。「交換法則」や「可換律」のように言うとき、一般的にはそれは二項演算(あるいはより一般に二項関係や二変数写像(英語版))に結び付けられた性質のことを言うものと理解される。特定の演算を固定して考えるとき、その演算の引数となる二つの元で、交換法則の言う条件式を満足するものに対しては、それらの二元が(与えられた演算のもとで)「交換する」「可換である」(commute) と言い表す。 以下、集合 E 上に二項演算 ∗ が定められているものとして: E の二つの元 x, y が演算 ∗ のもと(互いに)交換するまたは可換であるとは x ∗ y = y ∗ x {\displaystyle x*y=y*x} を満たすときに言う。 E の任意の二元 x, y が演算 ∗ のもと交換するとき、すなわち x ∗ y = y ∗ x ( ∀ x , y ∈ E ) {\displaystyle x*y=y*x\qquad (\forall x,y\in E)} が成り立つとき、演算 ∗ は交換法則を満足する、または可換であると言う。可換でない演算は非可換 (non-commutative) であると言う。 より一般に、 E の二つの部分集合 S, T が x ∗ y = y ∗ x ( ∀ x ∈ S , y ∈ T ) {\displaystyle x*y=y*x\qquad (\forall x\in S,y\in T)} を満足するとき、S, T は元ごとに可換 (element-wise commute) であるという。 E の二つの部分集合 S, T が x ∗ y = y ′ ∗ x ′ ∧ y ∗ x = x ″ ∗ y ″ ( ∀ x ∈ S , y ∈ T ; ∃ x ′ , x ″ ∈ S , y ′ , y ″ ∈ T ) {\displaystyle x*y=y'*x'\land y*x=x''*y''\qquad (\forall x\in S,y\in T;\;\exists x',x''\in S,y',y''\in T)} を満足するとき、S, T は集合として可換 (commute as set) であるという。 あるいはまた、 二変数写像(英語版) f: A × A → X は、どの二元 x, y も交換するとき、すなわち f ( x , y ) = f ( y , x ) ( ∀ x , y ∈ A ) {\displaystyle f(x,y)=f(y,x)\qquad (\forall x,y\in A)} が成り立つとき、可換あるいは対称(英語版)であると言う。 二項関係 R ⊂ A × B は、どの二元 x, y も交換するとき、すなわち x R y = y R x ( ∀ x ∈ A , y ∈ B ) {\displaystyle x{\mathrel {R}}y=y{\mathrel {R}}x\qquad (\forall x\in A,y\in B)} が成り立つとき、交換可能あるいは対称であると言う。
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