宇宙のランデヴーとは? わかりやすく解説

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宇宙のランデヴー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 01:22 UTC 版)

宇宙のランデヴー
Rendezvous with Rama
著者 アーサー・C・クラーク
訳者 南山宏
発行日 1973年 1979年
発行元 早川書房
ジャンル サイエンス・フィクション
言語 英語
形態 ハードカバー文庫本
ページ数 382(ハヤカワ文庫SF版)
次作 宇宙のランデヴー2
コード ISBN 978-4150119430
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宇宙のランデヴー』(うちゅうのランデヴー、原題Rendezvous with Rama)は、アーサー・C・クラークが著した長篇SF小説。1973年刊。22世紀を舞台に、太陽系に進入した異星の宇宙船ラーマとのファースト・コンタクトが描かれている。ネビュラ賞ヒューゴー賞受賞。未知の存在へのセンス・オブ・ワンダーを見事に描いた傑作として評価されている。

あらすじ

西暦2130年、宇宙監視計画スペースガードが謎の物体を発見した。ラーマと名付けられた物体は当初小惑星だと思われていたが、宇宙探査機によって送られた映像に写っていたものは、円筒型をした疑いようもない人工の建造物だった。急遽、艦長ノートン中佐率いる宇宙船エンデヴァー号がラーマの探査へ派遣される。

以降、エンデヴァー号の調査隊によるラーマの探索が描かれていく。 ラーマの内部は空洞になっており、暗く静まり返っていた。探索を進め、彼らは内部を一巡りする環状の凍った海(円筒海)や、出入り口のない都市のような構造物を発見する。やがて、太陽に近づいて暖められたことで円筒海が溶け、さらに人工太陽によって明かりが灯される。生物ともロボットともつかない「バイオット」との遭遇や、独断でラーマに向けて発射されたミサイルといった危機を経て、更に太陽へ近づきつつあるラーマの最後の探検として、都市状構造物内部への侵入を試みる。そこで彼らは、ホログラムで記録されたラーマ人の工芸品カタログを発見する。

結局、エンデヴァー号は「ラーマ人」を発見することがないまま任務を終えた。ラーマは、なんらかのエラーから太陽に突入する軌道を取ったように思われたが、太陽に接近した上で恒星間飛行で失った物資を補給し、次なる地を目指して謎を残したまま太陽系を去っていった。ラーマの太陽系への接近は、計算された中継であったと、人類は理解した。

ラストシーンは、地球の科学者が感じた予感として「ラーマ人は何ごとも、三つ一組にしないと気がすまない。」[1]という有名なフレーズで締めくくられる。

設定

ラーマ

名前は古代インドの叙事詩『ラーマヤナ』の主人公ラーマから。発見当初に登録された名前は31/439。

時速10万キロメートル以上の速度で太陽系を通過する軌道を取っている。作中の天文学者によるとその軌道から100万年以上旅していると推定されるという。

外観は全長50キロメートル、直径20キロメートルの円筒型。内部の幅は16キロメートル。4分周期で自転している。遠心力によって内部側面の壁には直立することが出来る。

内部の両端はお椀型で、それぞれ「北半球」「南半球」と名付けられた。エンデヴァー号の調査隊がエアロックから進入した北半球は、先端が平らになっており、側面に向かって120度間隔で3本の階段が伸びている。南半球の端には巨大な尖塔が突き出ている。

側面部(中央平原)の中央には、壁を一周する幅10キロメートルの環状の溝に水を湛えた部分があり「円筒海」と名付けられた。溝の壁は北半球側に比べて南半球側が500メートルほど高い(北半球側を先にして駆動するため)。円筒海上には、幅3キロメートル、長さ10キロメートルの島があり、マンハッタン島にちなんで「ニューヨーク」と名付けられた。中央平原には他に6ヶ所都市のような構造物がある(それぞれローマ北京ロンドンモスクワ東京パリ)。作中で、これらの構造物は都市ではなく、倉庫やバイオットを作る工場だと推測されている。

バイオット

名前はバイオロジカル(生物学的)ロボットから。「掃除」「探査」といった目的別に、カニクモに似たもの等の種類が登場する。有機体でありながら、消化器官も生殖器も持たず、体内の電池をエネルギー源にして活動している。

スペースガード計画

実在するスペースガード計画は、この作品にちなんで命名された。作中では冒頭で、2077年に小惑星がイタリアへ衝突し甚大な被害をもたらした事が発足のきっかけになったと描写している。

受賞歴

主な受賞歴は以下。

シリーズ作品

続編として、ジェントリー・リーとの共著で『宇宙のランデヴー2』(1989年、原題Rama II)、『宇宙のランデヴー3』(1991年、原題The Garden of Rama)、『宇宙のランデヴー4』(1993年、原題Rama Revealed)がある。

『宇宙のランデヴー2』は、第一作から70年後という設定である。『宇宙のランデヴー2』から『宇宙のランデヴー4』までで三部作を形成している。作風はクラーク単著のものと大きく異なり、欲望渦巻く人間ドラマが描写されている。

また、ラーマシリーズのサイドストーリーとして、ジェントリー・リー単著で『Bright Messengers』 (1995年、日本語未訳)、『Double Full Moon Night』(1999年、日本語未訳)がある。

ゲーム作品

1996年にSierra Entertainment社からPC用ゲーム『RAMA』が発売された。また、1998年にはプレイステーション用ゲームソフト『宇宙のランデヴー RAMA』が発売されている。

書誌情報

  • アーサー・C・クラーク 『宇宙のランデヴー』 南山宏訳 早川書房〈海外SFノヴェルズ〉1979年 ISBN 978-4152020161
    • アーサー・C・クラーク 『宇宙のランデヴー』 南山宏訳 早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉1985年 ISBN 978-4150106294
    • アーサー・C・クラーク 『宇宙のランデヴー』 〔改訳決定版〕南山宏訳 早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉2014年 ISBN 978-4150119430
  • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー2』 山高昭訳 早川書房〈海外SFノヴェルズ〉1991年 ISBN 978-4152020734
    • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー2(上下)』 山高昭訳 早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉1994年 ISBN 978-4150110871 , ISBN 978-4150110888
  • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー3』 山高昭訳 早川書房〈海外SFノヴェルズ〉1993年 ISBN 978-4152020789
    • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー3(上下)』 山高昭訳 早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉1996年 ISBN 978-4150111595 , ISBN 978-4150111601
  • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー4(上下)』 冬川亘訳 早川書房〈海外SFノヴェルズ〉1995年 ISBN 978-4152020802 , ISBN 978-4152020819
    • アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 『宇宙のランデヴー4(上下)』 冬川亘訳 早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉1997年 ISBN 978-4150111830 , ISBN 978-4150111847

脚注

  1. ^ ハヤカワ文庫SF『宇宙のランデヴー』p375より引用。

宇宙のランデヴー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 02:27 UTC 版)

アーサー・C・クラーク」の記事における「宇宙のランデヴー」の解説

クラークの『宇宙のランデブー』(1972) は何年前に映画化権購入されているが、未だに製作が進行していない。俳優モーガン・フリーマンが『宇宙のランデブー』を原作とした映画製作したいと述べていたが、2003年には資金集め苦労していると明かしていた。IMDbでは一時期2009年公開予定とされていた。映画製作フリーマン制作会社 Revelations Entertainment が行予定だった。Revelations のウェブサイトには『宇宙のランデブー』のページがあり、そこに監督として名が挙がっているのがデヴィッド・フィンチャーである。彼は2007年のインタビューで『宇宙のランデブー』の映画化意欲見せていた。しかし2008年、フィンチャーはこの映画製作されない可能性が高いと述べた脚本がなく、モーガン・フリーマン健康状態思わしくないことなどを理由挙げている。IMDbからも削除された。

※この「宇宙のランデヴー」の解説は、「アーサー・C・クラーク」の解説の一部です。
「宇宙のランデヴー」を含む「アーサー・C・クラーク」の記事については、「アーサー・C・クラーク」の概要を参照ください。

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