堅果からなる集合果と複合果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 09:49 UTC 版)
ハス(ハス科)の花は漏斗状の花托に多数の雌しべが埋没しているが、個々の雌しべは堅果(ただしこの果実は1心皮性であり、典型的な堅果とは異なるため、痩果として扱われることもある)となり(下図2b)、これを含む肥大した花托からなる集合果はハス状果(nelumboid aggregate fruit)とよばれる(下図2a)。ハス状果は花托が大部分を占めており、典型的な偽果である。 2a. ハス(ハス科)のハス状果 2b. ハス状果の中の堅果(または痩果) 2c. オオバヤシャブシ(カバノキ科)のストロビルと堅果(小堅果) 2d. ヨーロッパグリ(ブナ科)の3個の堅果が殻斗で包まれている 2e. ガマ(ガマ科)では毛をもつ多数の堅果(または痩果)が集合して穂を形成している イヌシデ、カバノキ、ハンノキ(カバノキ科)などは、葉腋に堅果(または小堅果)をつけた苞(果苞、果鱗)が軸にらせん状について球果(まつぼっくり)状のまとまりを形成する(上図2c)。この複合果(多花果)は、ストロビル(ストロビラ、果穂; strobile, strobilus)ともよばれる。strobile という用語は、裸子植物球果類(針葉樹)の球果に対しても用いられる用語であるが、裸子植物は雌しべ(子房)をもたないため、球果類の球果は果実ではない。 クリ属(ブナ科)は3個の雌花に由来する3個の堅果が共通の殻斗に囲まれて複合果状になるが(上図2d)、殻斗が裂開して個々の堅果が散布される。 またガマ属(ガマ科)では、筒状に密集した多数の雌花がいわゆる「がまの穂」を形成し、この雌花がそれぞれ堅果(痩果ともされる)になるため、果実が密集して複合果状になる(上図2e)。
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