球果とは? わかりやすく解説

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きゅう‐か〔キウクワ〕【球果/×毬果】

読み方:きゅうか

裸子植物の、特になどの針葉樹がつくる果実多数木質鱗片(りんぺん)が重なって球形円錐形をなすもの。種子は各鱗片内側につく。場合松かさよばれる


球果

同義/類義語:球果花
英訳・(英)同義/類義語:cone

裸子植物で、マツ松傘のように、鱗片集まって作られ構造をしており、雌性球果では内部種子を、雄性球果では花粉を持つ。
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個体の器官や組織など:  犬歯  珠皮  球形嚢  球果  球関節  環状水管  生殖上皮

球果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 00:56 UTC 版)

球果(きゅうか、毬果[1][2][3][4][5]cone[6][2][4])は、裸子植物針葉樹類が形成する胞子嚢穂(生殖器官)である[7]。「果」と表現されるが、厳密には果実ではない[8][9][10][注釈 1]。英語 cone円錐を意味する単語であるが、初め矢田部良吉により「毬果」と訳され、後に「球果」として広まった[1]


注釈

  1. ^ 「果実」という用語は被子植物の持つ成熟した子房に限定して使われる[8]
  2. ^ 「花」という用語も現代の植物学では被子植物の生殖器官にのみ用いられる[8][23]。かつての花の定義ではゲーベル英語版により提唱された「胞子葉からなるシュート」という考え方を用いていた[24]。この定義ではトクサ類ツクシ小葉類ヒカゲノカズラの胞子嚢穂も花になる[24][20]イームス英語版による定義では、「1個の有限の茎頂に胞子葉および普通には不稔の他の付属物が着生したもの」である[23][25]
  3. ^ なお、この用語では球果と球花の区別がつかないため、雌性球果に対しては「種子をつけた雌性胞子嚢穂」という表現を用いている[8]
  4. ^ この場合、雄性球果を「花粉錐 (pollen cone)」、「雄錐 (male cone)」や「小胞子錐」と、雌性球果を「種子錐 (seed cone)」、「雌錐 (female cone)」や「大胞子錐」と呼び分けている。ただし、これらは植物学の分野で一般的な用語ではない。クレイン (2014) では、イチョウの雄性胞子囊穂に対して pollen cone が用いられ、矢野真千子による邦訳では「花粉錐」と訳されているが、金井 (2016) による書評では、これまでの表現のように「雄花穂」で十分であると評されている。
  5. ^ 但し、Yang et al. (2022) ではイヌガヤ属 Cephalotaxus が単型科イヌガヤ科 Cephalotaxaceae としてイチイ科から分離され、イチイ科の姉妹群となっているが、かつての系統解析ではイチイ科に内包されることも多く、本項ではイチイ科に内包して扱う。
  6. ^ かつては種鱗を「果鱗 (seminiferous scale)」[4]や「実鱗(實鱗、Fruchtschuppen)」[5][47]と呼び、苞鱗を「被鱗(Deckschuppen)」と呼んだ[5][47]
  7. ^ 後述の通り、ヒノキ亜科では胚珠は鱗片の葉腋に形成されるため、鱗片部分に種鱗の一部は含まず、果鱗は苞鱗のみからなる[57]
  8. ^ ただし、前記の通り古くは「果鱗」は種鱗を指していた[4]佐竹 (1934) はそれを認識したうえで、種鱗と苞鱗からなる球果の鱗片を果鱗と呼ぶべきであると述べている。このように、鱗片の名称には混乱が見られるため、下記にまとめる。
  9. ^ 反転した維管束だけでなく、それに向かい合って苞鱗と同じ向きの維管束も持つことを指す。
  10. ^ 遠位端では2個、中央部では4個になることもある。
  11. ^ ただしイヌガヤ属の雌性胞子囊穂は雌性球果と言及されることもある[38]
  12. ^ Yang et al. (2022) ではイヌガヤ科とされる。
  13. ^ 雌性胞子嚢穂・雄性胞子嚢穂どちらに対しても用いられる。
  14. ^ pollen cone という表現は針葉樹類に限らず、イチョウ類グネツム類

出典

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球果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 10:12 UTC 版)

バンクスマツ」の記事における「球果」の解説

球果ととの接着強固で、地上落ちず何年樹上に残る。このため樹上には1年中たくさんの球果が付いていることが多い。球果をたくさん付けている点はリギダマツ (P. rigida) やコントルタマツ (P. contorta) など火災適応した他のマツとよく似ている。特にコントルタマツとは分布域一部重なり形態的な特徴や球果が熱で開く点も似ている長さは本種の方が短い。球果についてはコントルタマツ凹凸目立ち、本種の球果は滑らかな点に違いがある。 球果の大きさ3-5 cm で形は真っ直ぐなものから勾玉のように湾曲したものまで色々な形がある。小さ時には付いているものの、離れやすく実が熟す前には大抵取れてしまう。1つの球果に入っている種子の数は15個から75個まで幅がある。強く湾曲している球果の中の種子の数は真っ直ぐなものに比べて少な傾向がある。種子発育不全は球果の形と関係があるという研究があり、内側向かって湾曲している球果は外側湾曲しているそれに比べて2倍の発育不全があるという。1つの球果の鱗片平均80上であるが、その中で種子を含むのは球果の先端の方の僅か1/3の鱗片だけである。球果および種子の量を左右する要因たくさんある受粉時にだと結実悪くなり、種子の数が減る。球果や種子発育不全原因になる。しかし、一番の損失は虫害を受けた結果発育不全である。健全な球果であってもついている基部の方は発育不全種子ばかりであり、小さな破片しかない。球果と種はいくつかの指標でその良否判断できる具体的には球果の色、大きさ乾燥重量生体重量(fresh weight)、比重(specific gravity)、鱗片の色、種子の色、種子の中の幼芽(embryo)の長さなどがあり、これらの情報から種子成熟具合決めることが出来る。ウィスコンシン州北東部において球果と種子成熟具合を示す最も優れた指標となるのは球果の色であり、75%が茶色鱗片内側赤み帯びた茶色種子暗褐色もしくは黒色で球果の含水率生体重量(fresh weight)で45%以内のものが望ましいとされる。これらの球果と種子成熟指標現れるのはリス種子集め始め9月上旬とほぼ一致している。良い球果の比重成熟後しばらくは1よりも大きく最短でも2月頃までは1よりは小さくならないこのため選は本種の球果と種子判定する方法としては不適である。 樹形 樹皮白っぽい灰色荒くうろこ状に裂ける。ただし色は個体による変異大き短く太くモミツガ連想させる形である 雄花 雌花 若い球果 (松かさ) 大量の球果を付けている樹冠部分

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