問題点と克服
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新貿易理論のモデルでは企業は同質的であると仮定され、(同一の国内の)すべての企業が同じ行動をとる。つまり、開放経済ではすべての国が輸出を行う。この理論的予測は、実際に輸出をするのはほんの一部の企業であるという実証的事実と整合的でない。マーク・メリッツによって提示された異質的企業の貿易モデルでは、その実証的事実を整合的な理論的予測を得ることができる。これが2000年代以降の新々貿易理論の隆盛をもたらす。
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問題点と克服
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「貿易における重力モデル」の記事における「問題点と克服」の解説
実際のデータを観察すると、国際貿易を行っていない国の組もある。そうした国の間の貿易フローは「ゼロ貿易フロー(zero trade flows)」と呼ばれる。貿易が観察される国のデータのみを用いて重力モデルを推定すると、サンプルセレクションの問題が生じる。その問題を克服するために、ジェームズ・ヘックマンの二段階推定法(通称 Heckit)を用いた推定方法が提案されている。また、ポワソン疑似最尤推定法(the Poisson pseudo-maximum-likelihood) も、被説明変数(貿易額)がサンプルの大部分においてゼロであることを許容するため用いられている。 実際の分析では、対数線形に直された重力モデルが推定され、予測値(サンプルに含まれる国のペアの対数貿易額の平均値)を得て、その数値を指数変形(exponential)してモデルから予測される貿易額が計算される。この計算では、イェンセンの不等式により予測値にずれが生じる。したがって、被説明変数が対数貿易額ではなく実際の貿易額であるポワソン疑似最尤推定法が好まれる。 国レベルの貿易額を用いた推定では集計バイアス (aggregation bias) が生じることが知られており、産業レベル・品目レベルのデータを用いた推定が好まれる。 その国の組が、その他の国からどれくらい離れているかを測る指標であるマルチラテラル・レジスタンス (the multilateral resistance) (またはリモートネス (the remoteness)とも呼ばれる) も貿易フローを決定する重要な変数であり、それを重力モデルの右辺に導入しないと省略変数バイアスが生じることが知られている。データがパネルデータであれば、国固定効果としてマルチラテラル・レジスタンスを制御することが可能である。 中間財貿易の拡大で、重力モデルの説明力が低下していることが指摘されている。 通常の重力モデルでは、経済規模の指標であるGDPが右辺に入り、GDPの上昇が一人あたり所得の上昇によるものであっても人口増加によるものであっても同じように貿易を増加させることを予測する。しかし、実際は一人当たり所得の増加の方が人口増加よりも貿易を増加させることが指摘されている。
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